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第8章
でも、今、私はもうそのことを自覚している。
私は、この世界にどんどん馴染んできている自分を自覚している。
地球にいた頃より、今、私はここに生きていることを実感している。
今なら、ちゃんと名付けることが出来る筈。
「白い羽、蛇、竜、記憶を繋ぐもの……」
この精霊を最も良く示すものはなんだっただろう。
「記憶……竜の、記憶。
空を、泳いだ……」
それも、彼から伝えられた中で強い感情を得た一つだ。
でも。
「……家族?」
もっとも強かった記憶は、あれは、“私”が生まれたことを寿ぐ感情の渦だった。
幼い頃に望んだけれど、得られなかった、得られないまま諦めたあの思いは。
あの、イメージは。
『マイア』