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第8章 (5)
「では、今回の暴走の原因は何処にあると思う、ルディア?」
一般的な、よくあるタイプの失敗とは違うことは分っている。
召喚そのものに失敗したわけではなく、明確な契約を結んだ訳でもなく、故に心変わりというものもなく、相性が良いことは実証済みだ。
――問題は、私の心のほうにある。
「名付け、がこの場合は問題なんですね?」
確認の形をとってはいるが、これは確信だった。
そもそも精霊と契約者間(厳密な意味でいえばまだ違うが)の問題において第三者が判断できることなどほとんどないのだから。
熟練した精霊術士でさえその経験から推測するだけで、本質を理解できると言うわけではない。
「分っているのなら、その改善を次回までの宿題にしましょうか。」
そんな訳で、今は部屋に二人(?)きりだ。
帰ってきてすぐ、食後には部屋に篭りたいと伝えると、長丁場になることを見越してか、エメラさんは飲み物とお菓子を用意してくれていた。
「それじゃ、頑張ろうか。」
ベッドの上に座り込み、蛇もどきと向かい合った。