158/197
第7章
最初、神官たちが持つ灯火が明るさを増したのかともお思ったが、違う。
私の気のせいでなければ、先刻神殿で見たときと同じように少しずつ、精霊が集ってきている。
ナイルは私の言葉に、一瞬、おや、と言うような表情を浮かべたが、すぐに得心が行ったのか一つ頷くとこう言った。
「よく見てみてください。
きっと、今の貴方になら見える筈ですよ。」
別に明き始めていたが見ていなかったわけではない、と反射的に言ってしまいそうになって、ふとあることに思い至った。
よく見てみろ、今の私になら見える。
それは、つまり……。
神官たちが持つ灯火のために思い違いをしていたが、今、私は精霊を見ようと思っていなかったことに気が付いた。
ということは、現在目に映っている精霊たちは可視状態にあるという事だ。
精霊の力が高まる夜とはこういう意味かと納得した。