第7章
「因みに、フィズはこう見えて末っ子ですよ。」
「え?」
私の心の声が聞こえたかのようにイドゥンさんは言った。
思わず、フィズさんの顔を見つめてしまったが、その言葉を肯定するように頷くだけだ。
「彼は自分がしてもらったことを真似してるだけ、と言うことらしいですよ。」
「いや、だから何でそんな人の心を読んだかのように……。」
「最近のマレビト様はとても表情が豊かですよ。
何を考えているのか、とても分かりやすくなりました。」
それって、褒め言葉なんだろうか……。
内心訝しんでいたつもりが、それも顔に出ていたらしい。
「見習いの精霊術士としては、良いことですよ。」
「……本当ですか?」
その割りに、私はハルディアさんが何を考えているのかよく分からないのだけれど。
「見習いとしては優秀、ってことです。
そこから更に進んで、表面上何を考えているのか読めなくなるくらいにまで精霊を御せるようになって一流です。」
「……道は、果てしなく遠そうですね。」
「こればかりは、努力あるのみ、です。」
「頑張ります……。」
そう、気弱な目標を掲げたところで、ようやく、行列の終わりが見えてきた。