第6章 (1)
「『秘密の花園』の真相解明?」
「はい。
この依頼、一緒に受けてはみませんか?」
いつもながら色気ダダ漏れの美少年というか美青年というかどちらで呼ぶべきか迷う風情の――まあ、便宜上少年としておこう――セム少年が、某世界名作劇場を思い起こさせる或る一枚の依頼書を持ってきたのは、私がある事に頭を悩ませているときだった。
時の流れは早いもので、気付けば学校に通い始めて3ヶ月目に突入しており、中間考査の時期が迫っていた――因みに1年は24ヶ月、1期は6ヶ月である――。
まさかこの世界にもあるとは思わなかった中間試験。
最終試験だけじゃなかったのか……。
まあ、学校教育制度を最初に始めたのが“始源の魔法使い”とも聞けば納得のいく話ではある。
しかも、通い始めてから知った話だが、ここ、ベルガディナルの諸々の学校の創立時の貢献者もまた日本産のマレビトだったというのだから、さもありなん、といった感じではある。
まあ、それは今の私にはどうでも良いことだ。
先人たちが何を考えていたかなど私には関係ない、そう、今この時に単位を落としかけている私にとってはそんなのは些事に過ぎない。
大学も無事に一度もダブることなく卒業した今更、こんな悩みを抱くことになるとは思いもしなかった。
問題なのはある1科目。
他は基礎科目だったり、筆記中心だから問題はなかった。
だが、ある1科目だけは考査が実技課題で行われるのだ。
にも拘らず、授業の中での練習中、私一人が一度も成功していなかった。
その講義の講師の名は、ナゥブドゥカ先生。
講義名、「今すぐできる精霊交流術」。
課されたものは――精霊召喚。