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マレビト来たりて  作者: 安積
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間章

ギルドから離宮までは私の足では、恐らく1時間弱程度だろう。

歩いていっても良いのだが、面倒なのと時間を考えると昼までに届けるには徒歩では間に合わない可能性もあったので、乗合馬車を利用することにした。

神殿を中心にして、神宮大路と神殿大路で区切られた4区間をそれぞれ周回している、まあ日本で言うところの路線バスみたいなものだ。

馬車とは言っても地球の馬とはどこか違った――例えば、麒麟のように脚に鱗があったり、蹄が偶蹄類のものだったり、角が生えていたりと様々だ――馬のような生き物や、大型の鳥類――ダチョウや絶滅した大型鳥類、恐鳥モアにも近いといえば近いが、首は細くはなく、全体的にはどちらかと言えば某RPGのチ○コボのようなかなりがっしりとした体格の鳥だ――などが車を引いており、それらを総称して馬車と呼んでいる。

街中に幾つかの停留所があるほか、呼び止めればどこでも止まって乗せてくれるし降ろしてくれる。

まあ、その分スピードは遅いのだが、歩くよりは格段に早く運賃もそう高くはないので多くの人が利用している、との事だ。

因みに、話を聞いたことはあるが、乗るのは今日が始めてだ。

乗合馬車で離宮まで行ってみたいから乗り方を教えて欲しいと頼めば、神殿はこれだから教育が偏っている、と呆れながらもクレオさんは詳しく教えてくれた。

都合の良いことにギルドも離宮も停留所があるので、初心者の私にも安心だ。

まるで初めて一人でバスや電車に乗ったときのような気分で、ギルド前でクレオさんと一緒に話をしながら馬車が来るのを待った。


やがてシャラシャラと鈴の音が聞こえ始め、続いてガラガラという馬車の車輪が音を響かせながら馬車の姿が目に入った。

やってきたのは麒麟とユニコーンを足して2か3で割ったような姿の馬モドキに牽かれた馬車だった。

停留所で止まった馬車から降りる人を待って、クレオさんに礼を言うと初乗合馬車へと乗り込んだ。

馬車には幌はなく、代わりに屋根はあるものの、座席より上は転落防止及び用の柵があるだけで窓はなく吹き抜けになっている。

雨の日はさぞ濡れることだろうと思いながらも、今日は快晴なので何ら気にすることなく見晴らしの良い窓際の座席に座った。

20人くらいは座れるだろう座先も時間帯の影響か今は疎らだ。

いつもは徒歩で行く道の、いつもとは違う視点、スピードを楽しみながら、初めての乗合馬車を満喫した。

神殿どおりを神殿に向かい東に進み、神殿からは神宮大路に曲がり、離宮へと北へ進む。

普段行くことのない、高級商店街?やらを通り抜け、目的地である離宮前で降りた。

ここまでの、というか周回馬車はどこまで乗っても運賃は変わらず1回1ベク、5円玉に似た青銅貨1枚だ。

この運賃の安さが人々に広く利用される一番の理由だろう。

帰りもまた馬車に乗ろうと思いながら、離宮の正門へと向かった。

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