甘納豆のお赤飯
お赤飯と言えば小豆が入っているのが、恐らく一般常識なのだと知ったのはいつだったか。
お赤飯には甘納豆が入っているのが僕にとっての常識だった。小豆が入っているお赤飯を食べた時、お赤飯ってこういうものなのか、と衝撃だった。
お赤飯は甘いものだと認識していた僕にとって、甘くない、小豆のお赤飯は、まるで別の食べ物だった。そう、北海道ではお赤飯は甘い。甘納豆が入っている、甘いお赤飯。
北海道を離れてから何年も経って、しばらく食べていないから、それの味を好きだったか、どんな味だったか、記憶が薄れてわからない部分もある。好きではなかったような気もするし、どうしてもまた食べたいような気もする。
調べてみるとパックごはんで甘納豆のお赤飯を売られているものもあるらしい。通販で買うことはできるようだ。でも、そこまでしてまでまた食べたい味かなとも思う。食べてみて、やっぱりおいしくないとなる可能性もある。
思い出補正というのはあるもので、思い出の中にある甘いお赤飯は良いものだったような気がしている。でも、味がどんなだったか本当に記憶がない。甘かったということだけはわかる。ごはんが甘いというのが、少し嫌だったような、好きだったのか、記憶が定かではない。
北海道で生まれ育った思い出が、薄れていくのを感じながら、でも僕は東京の人間にもなれないのだと思う。北海道での常識が常識ではないことに衝撃を受けながら生きている。
東京の人間にもなれないけど、北海道に帰ることもできない。僕はとても中途半端な人間だなぁと思いながら、甘いお赤飯に思いを馳せる。
〈了〉
北海道の常識は東京の常識ではないのだシリーズ。シリーズとは言いつつこれ以降のネタは今のところ浮かんでいない。




