森の守護者と弓の冒険者外伝!エリシアちゃーん!そのワンワン!
エリシアちゃんが9章~11章で何してたのかなー?ってそんな気になる裏側のお話です!
エリシアちゃんの事がもっと伝われば良いなって思って書きました。
これ読んで気になったら本編も読んでみてくださいね☆
『エリシアちゃんの孤独とやさしさ』
エリシアは長い足を持つアラクネで、森を自由に歩き回るのが大好き。
巣を作らずに蜘蛛の糸を張り巡らせて、情報収集をしているからか、孤独を感じる事はないし、人間と関わることもほとんどない。
人々からは恐れられているけど、彼女は全く気にしていない。
人間たちが恐れる中、エリシアは今日も悠々自適に森を闊歩している。
エリシアは森を静かに歩いていた。大森林の奥深くで、いつもと変わらぬ日常を過ごしていたはずだが、その日は何かが違う気がした。風が変わったような、微かな力を感じる。
蜘蛛の糸がほんのりと震え、遠くの音を拾い上げた。普段なら無視するような音も、今日は耳に引っかかる。
「争っている…?」
音の方向に目を向けると、二人の人間が激しく戦っているのが見えた。
剣を交え、叫び声が響く。エリシアはその光景を冷静に見守った。人間同士の争いには不思議な興味を覚える。規範を持っているはずなのに、どうしてこうなるのか、理解できない。
「人間って、ほんとうに謎ね」
彼女は言葉もなく、戦いを見つめていた。だが、突如、別の音が耳に入る。
…小さな叫び声…
急いでその方向へ向かうと、今度は子供が魔物に追い詰められているのが見えた。
「この辺りに村があったかしら?」
エリシアは眉をひそめ、周囲を見渡しながらも、即座に行動を決めた。魔物の前に立ち、強力な糸でその動きを封じる!
魔物は抵抗するが、糸が絡まり身動きが取れなくなった。
エリシアは素早く子供のもとに駆け寄り、傷を確認する。
怪我をして気を失っているようだ。
「無駄に痛みを感じさせない方がいいわね」
彼女は手をかざし、微量の毒を指先から滲ませ、子供の傷口へと触れさせた。
毒は麻酔のように作用し、傷を治す過程での痛みを和らげるためだ。
子供の身体がかすかに震え、力が抜けるのを確認すると、エリシアは静かに息をついた。
自身から紡ぎ出した糸で、傷口をしっかりと封じた。アラクネの糸は単なる繊維ではない。
彼女の体質そのものが持つ異質な力が、傷を内側から癒していく。
「これでいいかしら」
子供を優しく抱え上げると、彼女は村へ向かった。
やがて村へとたどり着き、広場にそっと子供を寝かせた。
しばらくすると、子供が微かに息をつきながら、ゆっくりと目を開ける。自分の周りを見回し、静かに立ち上がるのを確認すると、エリシアは何事もなかったかのように森へと戻っていった。
――数日後、エリシアは自分の小さな「家」(森の中にある、木々の間の静かなスペース)で、いつものように情報を集めていた。
木の枝に吊るされた蜘蛛の糸を使いながら、ぼんやりと考え込んでいた。
「そういえば、あの子、どうしてるかしら?」
あの日、あの子供を助けたことが気になっていた。
無事に目を覚ましたか、あれからどうしているのか、まぁ、無理に関わることはないんだけれど。
「ほら、私だってちょっとくらい気を使う時だってあるわよ」
ひとりごちて、エリシアはふっと微笑む。
彼女なりに、気にする部分はあったが、それを表に出すことは滅多にない。
やっぱり、森での自由な時間が一番落ち着くのだ。
蜘蛛の糸が微かに震える。
エリシアはそっと耳を澄ませると、微かに聞こえる声や動きが、森の中を忍び足で歩いているのを感じ取った。
「また、何か面倒なことが起きてるのかしら…」
少し興味を持ちながら、エリシアは立ち上がり、ゆっくりとその音の方へ足を進めるのだった。
まっことありがたきしあわせにござるのです!
まさかここまで読んでもらえるとは思っていませんでしたので、もう感謝通り越した辺りで感謝しかありません!
また何か思いついたら書きますのでよろしくお願いますね☆