2話 君の声
目が覚めると知らない部屋だった
窓はなく白い壁紙の部屋には机といすが1セットとベッドだけ
ドアはあるがドアノブがない。病院というより監獄というイメージの方がしっくり来た
私はベッドから起き上がりドアを押してみた。当然ドアは開かない
「誰かいませんか?」とドアをノックしてみた
ドアの外で一人の足音が遠ざかっていき、しばらくすると複数の足音が近づいてくる
ドアが開くと女性と男性が入ってきた
「望月さん起きたようですねぇ!三日も目を覚まさなかったので心配してたんですよ~
あ、私は対能力者対策部隊、第十三番隊隊長【尾藤】といいます。よろしくね!」
尾藤と名乗る女性は敬礼をした。話を聞くとここは警察管轄の病院らしい
「いやね、先日の事件なのですが、なんというか、被害者の方が望月さんしか見つからず
さらに容疑者らしき中に生徒の制服を着ている者もいたもので
違っていると思うんですよ
けど、一応ってことでこんな部屋で過ごしてもらうことになるんですが」
この人は言葉を濁していたがつまるところ
「私も、容疑者ということですか?」
怒りがわいてくる。私が?あんな奴らと、一緒に扱われているなんて
握っている拳に力が入る
「まぁ、有り体に言えばそうなりますねぇ」
その笑顔が私の感情をさらにかき乱した
「ふざけないでください!」そう言って両手を打ち合わせる
心臓の高鳴りとあふれる力で尾藤に殴りかかった
その瞬間男に取り押えられ床に叩きつけられた
「おとなしくしないとだめじゃ無いですか
私達は荒事に慣れてるんですよ?覚醒したてのヒヨコが勝てるわけないでしょ?
それに、やましいことがなければおとなしくしていればいいじゃないですか」
そういって尾藤は私の顔を覗き込み笑っているが目が笑っていない
「…あの場では戦わなきゃ死んでた。なのに容疑者扱いとか。
なら私は、あの場所で死んでお前たちの無能さを証明すれば良かったってこと?」
私の口から私の言葉でない言葉が出てきた
気付くと私は部屋の椅子に座っている
しかし私の足元には私が床に押さえつけられている
私の座り方ではない座り方
足を組みながら膝で頬杖をついている。男の子の座り方だ
まるで体が入れ替わったような感覚だった
「だれもそこまでは言っていませんよ
たとえ一人であれ、救うことが私たちの仕事ですから」
「建前はいい。なぜか私を怒らせようとしてるのはわかってる。本題を話して」
私は私を見ながら怖かった。あれは私じゃない
私の中に何か別のモノが入って動いている
体に触れようとしたがすり抜けてしまった
私の体は私の方に視線を向け少し笑いウィンクをした
その顔に悪意はなく、多分ここは任せろと言っているのだろう
なぜか私の体が考えていることが流れ込んでくる
「…なぜそう思ったんですか?」
尾藤が私に聞いてきた
「私の周りにはそういう腹芸が得意な人が多くて、しいて言えば勘かな」
尾藤の口がピクリと動いた
尾藤が手を振ると私を取り押えていた男が拘束を解いた
「最初に抵抗してきたのは?」
「起きてすぐ、お前犯人なのか?って言われたら誰だって怒りますよね?」
尾藤がニヤリと笑った
「最後に」
そういいながら尾藤が私を睨んだ
「黒羽って知ってる?」
さっきと違った低く心臓を握られるような響く声だった
「私達を襲った連中、それ以外は知らない」
しばらくそうして私の目と体を眺めると口元を抑えて笑い出した
「殺気にも動じない、か。成程なるほどナ―ルホド…黒木ちょっと耳かせ」
そうして二人でぼそぼそと話してる間に私は元の体に戻っていた
「大丈夫。君の近くに、ちゃんといるから」
私の耳元でそう言った声は意識の隅で聞いた男子の声
心臓がトクンとなった気がした
私はとっさに振り返るが誰もいない
優しく、どこか懐かしい安心する声が耳に残っていた




