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詩の部屋  作者: タニグチ・イジー
6/15

詩の部屋 6


  ○ 16


詩の部屋に入って

ずっと手を洗っている

BGMはノクターン

特に興味はないが

どこからか現れた猫が

それに合わせて鼻歌を歌ってる

まだもう少し手をきれいにしてから


  ○ 17


詩の部屋にあるレコードを調べる

古いバイオリンの絵が

書いてあるジャケットには

知らない文字が書かれている

そのレコードをプレーヤーにかける勇気がない

私は苦笑いをして振り返って

猫と視線を合わせてからソファに座る


  ○ 18


窓の外に茂っている木々の

名前は分からない

この部屋に来ると

知らないことばかりだということを思い出す

それでも忘れてしまっていた写真が

抽斗に入っていたことがフッと浮かんで

それを思い出せたことになぜか満足している


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