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【書籍化】黒猫を拾ったら俺んちが二大美少女の溜まり場になった。【Web版】~2人の少女が恋したのは、昔の俺と今の俺――。  作者: マナシロカナタ(かなたん)★ネコタマ★3巻発売決定!☆GCN文庫
第4章 2人の少女が恋したのは、昔の俺と今の俺だった件。

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第75話「遠慮はしないからね」

「ふーん?」

「ふーん」


「だ、だってしょうがないだろ? 俺だっていきなりすぎて、全然心の準備ができてなくて、とても2人のうちから1人を選ぶことなんて、できないんだよ! せめてもう少し2人のことを知れたらなって思うんだけど!」


「ふーん?」

「ふーん」


「あ、曖昧な気持ちのままで1人を選ぶってことは、裏を返せばもう一人を、曖昧に選ばなかったってことなわけだろ? こんなにも俺を好きになってくれた2人に対して、そんな不誠実な真似だけはしたくなくてさ!」


「ふーん?」

「ふーん」


 もちろんこれは俺の勝手な考えだ。


「俺は2人の真摯(しんし)な想いに、中途半端な答えだけは返したくはなかったんだ。ほんと、それだけはほんとに本当だから!」


 俺は必死に言い訳をしたが、さすがにこれでは愛想をつかされてしまうかも――、


「んー、その回答は、陽菜ちゃんポイント100点かな」

 しかし陽菜は苦笑しながら、まさかのポイント加算をしてくれた。


「……えっと? この話の流れでなんでプラスされるんだ?」


 マイナスが重なり過ぎて逆にプラスになった的な?

 込められた皮肉を感じ取ってくださいね、的な?


「正確には、二股しようとしているのがマイナス900点」


「だから二股じゃないんだってば。もうちょっと2人のことを知りたいなって思って――」


「でもさっき美月を止めようとして出てきた王子様ムーブは、プラス1000点♪ 差し引きでプラス100点♪ カッコよかったぞー、たくみーん♪」


 陽菜はそう言うと、毛づくろいを終えて俺の腕の中で我関せずといった様子で寝コケていたクロトをヒョイっと抱き上げると、地面に置いた。


 無理やり起こされたクロトが「なにしよんじゃい」とでも言わんばかりに不満げに陽菜を見上げるが、陽菜は、


「クロト、ごめんねー」


 と軽く謝ると、空いた俺の腕をぎゅっと抱きしめるように取りながら抱き着いてきた。


「ひ、陽菜? 急にどうしたんだよ?」

「陽菜ちゃん!? なんで急に拓海くんに抱き着いたの!?」


「そんなのもちろん、たくみんに選んでもらうためのアピールに決まってんじゃーん♪」

「アピールって。そんなのだめだよ陽菜ちゃん!」


「なに言ってるの美月。たくみんはまだ選べないって言ってるんだよ? だったら選んでもらえるように、しっかりアピールするのは当然でしょ?」


「ぅ――」


「ねー、たくみんも当然そう思うよね? だってアタシたちのことをもっと知りたいって言ったのは、他でもないたくみんなんだもんねー」


「確かに言ったけど……でもここは公園であって、つまり公共の場だし……」


「別に今どき腕ギューくらいのスキンシップは普通でしょー? 3人で写真撮った時だってこれくらい近かったじゃん?」


「あの時とは、状況が違うだろ?」


 写真を撮るためにくっついたのではなく、好意の延長線上にあるラヴいスキンシップだと思うと、なんていうかその、俺のアオハルが激しく反応してしまうんです!


 男の子なんだからしょうがないだろ?

 俺だってお年頃なんだよぉぉぉ!(心の叫び)


「陽菜ちゃん」


「なに、美月? たくみんは今、迷ってるんだよ? ってことはアピールしないとだめってこと。言っとくけど、アタシはもう遠慮しないからね?」


「――っ」


「遠慮はしないからね」

 陽菜が同じ言葉を2度繰り返し、


「――っ!」

 木陰さんは口を真一文字に引き結んだ。


 陽菜と木陰さんの間に、得も言われぬ緊張感が走った――ような気がした。

 さっきの互いを想いあうがゆえの激しい口論とは、少し雰囲気が違う――ような気がした。


 そしてそうしている間にも、陽菜は俺の腕を抱きしめながら、大きくて柔らかい胸をグイグイと押し付けてくる。

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