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【書籍化】黒猫を拾ったら俺んちが二大美少女の溜まり場になった。【Web版】~2人の少女が恋したのは、昔の俺と今の俺――。  作者: マナシロカナタ(かなたん)★ネコタマ★3巻発売決定!☆GCN文庫
第4章 2人の少女が恋したのは、昔の俺と今の俺だった件。

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第72話「さ、そういうわけで。たくみん。どっちを彼女に選ぶの? アタシ、それとも美月?」

「2人とも、盗み聞きしてごめんなさい。本当にすみませんでした。でも盗み聞きするつもりは本当になくて、つい隠れてしまったら、そこからはもう出ていくに出ていけなくて。それは本当なんだ」


 俺は2人に謝罪した。

 しっかりと頭を下げて、言葉だけでなく態度でも詫びる。


 もはやこれ以上の言い訳をすることは許されなかった。

 それは2人が互いを思い合う真摯な気持ちへの冒涜(ぼうとく)だ。


 そんな俺の誠意が伝わったのか。

 陽菜はさっきまでのツンツンモードから一転、少し照れたように頬を染めながら言った。


「でもま、ちょうどいいと言えば、ちょうどいいのかもね」

「ちょうどいい……とは?」


「もうこうなったら、ここで聞くしかないよね」

「き、聞くって何をだよ?」


「それはもちろん、アタシと美月のどっちを選ぶかってこと。話、全部聞いてたんでしょ?」


「そ、それは――」


「ひ、陽菜ちゃん!? いきなりなに言って――」


 血の気の引いた真っ白な顔で、死んだ魚のような焦点の合っていない目で、壊れたスピーカーのようにブツブツ言っていた木陰さんが、ハッとした顔で話に入ってきた。


「だってもうアタシと美月の気持ちは、たくみんに知られてるんだよ? ここで聞かないでどこで聞くのよ?」


「だってそんな、こ、心の準備とかも、全然できてないし――」

「アタシだって心の準備なんてできてないし?」


「だ、だったら──」

「大丈夫、美月にはアタシが付いてるから安心して♪」


 陽菜がウインクしながら右手の親指をグッと立てた。

 とてもチャーミングで、今の状況も相まって俺のドキドキゲージが一気に加速していく。


「普段なら頼りになるし嬉しいんだけどぉ! この状況でそれはどうかなぁ? 今、私は陽菜ちゃんと勝負してるんだよね!?」


「細かいことは気にしないのー」


「ちっとも細かくないよね? 陽菜ちゃんか私か、どっちが選ばれるかって、とっても大事な場面だよね!?」


 木陰さんはなおも抵抗する様子を見せたものの、陽菜はニッコリ笑顔でそれをサクッとスルーすると、俺を見て言った。


「さ、そういうわけで。たくみん。どっちを彼女に選ぶの? アタシ、それとも美月?」


「え、いや、その──」


「もしかして頭の中がこんがらがってる感じ? じゃあ改めてまとめるね。アタシは6年前に颯爽と現れて助けてくれたたくみんのことが、今もずっと好きで」


「お、おう……」

 陽菜に面と向かって好きとか言われるのは、ものすっご~~~く恥ずかしい。


「美月は美月で、子猫を拾ってあげるような優しい人が好みのタイプなんだって。あはっ、つまりどっちもたくみんが好きってこと。いやーん、たくみんモテモテじゃーん♪ ウケるー♪」


「理解はできているんだけどな? けど、急にどっちか1人を選べと言われてもさ……」


 モブ男子Aに、おそれ多くもキラキラ女子2人のうちから1人を彼女に選べと、陽菜さん貴女はそうおっしゃるのですか?


 しかも2人とも俺のことが好きだって?


 ははっ、やれやれ。

 俺は自己顕示欲がムキムキな中学二年生の男子が見るような、アホな夢でも見ているのだろうか?


 思い切りほっぺをつねってみると、とても痛かった。

 やっぱりこれは現実らしい。


 つまり俺はキラキラ美少女ツートップの陽菜と木陰さんの2人から告白され、そのどちらかを彼女として選ばなければいけないようだった。


 なんだよそれ、意味わかんないんですけどぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?!?

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