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【書籍化】黒猫を拾ったら俺んちが二大美少女の溜まり場になった。【Web版】~2人の少女が恋したのは、昔の俺と今の俺――。  作者: マナシロカナタ(かなたん)★ネコタマ★3巻発売決定!☆GCN文庫
第4章 2人の少女が恋したのは、昔の俺と今の俺だった件。

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第65話 黒猫の導く先には――

 木陰さんを玄関で見送った俺が、うら寂しい気持ちになりながら、何をするでもなくぼーっと玄関のドアを眺めていると、


 みゃあ。


 すっかり聞き慣れた鳴き声とともに、クロトがとてとてと玄関までやってきて、透き通ったエメラルドグリーンの瞳で俺を見上げてきた。


「なんだ、クロトも木陰さんをお見送りしたかったのか? でも残念、ちょっと遅かったな。木陰さんはもう行っちゃったよ」


 みゃあ。


 クロトはまた一鳴きすると、今度は玄関のドアの前まで行って、そこで俺を見上げるように振り返った。


「どうしたんだ? もしかして外に出たいのか?」


 みゃあ!


 我が意を得たりとばかりに、尻尾を左右に揺らしながら元気よく鳴くクロト。


「うーん……リードとかのお散歩セットはないんだけど。ま、庭に出るくらいなら問題ないか」


 子猫にしては大きいものの、成猫にはまだまだ程遠いクロト。

 たまには外に出て遊びたいのかもしれない。


 俺が玄関のドアを開けてやると、クロトは最初に周囲を窺うような、警戒するような動作を見せてから、ゆっくりと家の外に出た。

 

 そして門のところまで進むと、足を止めてまた俺を振り返った。


 みゃあ!


 早く来いと言わんばかりに呼び掛けるように鳴くクロト。


「おおっと。庭の外はダメだぞ、クロト。道に出たら車も走ってるからな」


 みゃあ!


「だからだめだってば。ほら、こっちこいクロト」


 しかし何度呼んでもクロトは戻ってこない。

 それどころか、門の隙間から道の方へと抜け出してしまった。


「ちょ、おい! 出たら危ないんだってば」


 俺は玄関の靴箱の上の小さなカゴに置いていた鍵を慌てて取ると、素早く玄関の鍵を閉めてから、逃げ出したクロトを急いで追った。


 門を開けて庭の外に出ると、すぐ右に曲がったところにクロトはいた。

 そしてさっきと同じように俺を振り返って見上げている。


「ほらクロト、戻ってこーい。道路は危ないからな。せめて庭の中にいてくれ」


 しかし捕まえようと俺が近くまで行くと、クロトはまたテッテッテと進んで距離を取り、立ち止まって振り返ると、俺を見上げてくる。


 まるで付いてこいと言わんばかりの行動だ。

 3,4回追いかけっこをして、ついに俺は根負けした。


「はいはいわかったわかった。散歩したいんだな。少しだけ付き合ってやるよ。でも満足したらすぐ帰るからな。道路は本当に危ないんだ」


 みゃあ!


 というわけで俺はちょっとだけ、クロトのお散歩のお供をしてあげることにした。


「ま、頭の中がちょっともやもやしてたし、いい気分転換になるだろ。クロトがどこに行くのか、興味もあるし」


 あとで木陰さんに教えてあげたら、羨ましがってくれるかもだ。

 そのうち猫用のお散歩セットを持ってくるようになるかも。


 それはそれとして。

 俺を引き連れたクロトはテクテク進んでは、時々立ち止まって匂いを嗅ぐように鼻をヒクヒクさせると、またテクテクと進んでいく。


 俺は車や自転車に注意しながら、従者のごとくクロトを見守りながらついていった。


 幸いなことに、特に車や自転車などとすれ違うこともなく、しばらく歩くと公園が見えてきた。


 クロトを拾った公園だ。

 そしてそれは6年前に初めて陽菜と出会った、思い出の公園でもあった。


「なんだクロト、まさか目的は里帰りだったのか?」


 公園に入っていくクロトを見て、思わず苦笑した俺だったのだが、


「──っ!」

 公園にいた2人組を見て、俺は思わず息を飲んだ。


 2人というのはもちろん、木陰さんと陽菜だ。

 小学校からの親友という2人が、2人きりの小さな公園で対峙していた。

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