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【書籍化】黒猫を拾ったら俺んちが二大美少女の溜まり場になった。【Web版】~2人の少女が恋したのは、昔の俺と今の俺――。  作者: マナシロカナタ(かなたん)★ネコタマ★3巻発売決定!☆GCN文庫
第4章 2人の少女が恋したのは、昔の俺と今の俺だった件。

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第56話 休日の陽菜


 それはとある休日のことだった。


「あれ、たくみんじゃん。こんなところで会うなんて、奇遇だねー」


 駅前のスーパーに¥98の特売玉子(おひとり様1個まで、超重要)と、その他食材、牛乳、ゼロカロリーコーラ、インスタント食品などなどを買いに行った帰りに、俺は陽菜とバッタリと出くわした。


「よっ、陽菜。奇遇だな」

「だよねー。っていうか、たくみんと休みの日に会うのは初めてだもんね」


「だよな。陽菜の私服を見るの初めてだし」

「どうどう、可愛いでしょ?」


 陽菜は軽くウインクをすると、くるりと回った。

 膝丈のフレアスカートがふわりと舞う。

 さらに右手を腰に当てて、モデルっぽい決めポーズをとる。


 それだけでどこにでもあるアスファルトの道が、ランウェイへと早変わりしてしまった。


 トップスはボーダーのロンTで、いたってシンプルな着こなしだが、シンプルである故に、陽菜本人の可愛さがこれでもかと引き立っている。

 素材が良いから、味付けはむしろ控えめな方がいいんだろうなぁ。


 制服姿も可愛いけど、私服姿はマジ半端なかった。


「よ、よく似合ってる……と思う……ぞ」


 俺は私服キラキラ女子の放つカジュアルキラキラオーラに気恥ずかしさを盛大に感じながら、なんとか言葉を絞り出した。


 顔がカァッと赤くなるのがわかる。


 いやもうマジで私服の陽菜は可愛すぎるんだが!?

 男子の心をくすぐる小悪魔系アイドルなんだが!?


「ありがとー、たくみん」


 陽菜がにっこりと微笑むと、キラキラ度合いがさらに増した。


「陽菜も買い出しか?」

「買い出しって、何の?」


 口元に人差し指を当てながら小首をかしげる陽菜。


「今日はそこのスーパーで玉子の特売をやってるだろ? ちょうど今、夕方のセールタイムなんだ」


 朝・昼・夕方の3回、特売の玉子は放出される。


 俺は中身がいっぱいのエコバッグを掲げて見せた。

 玉子は割れやすいので一番上に載っている。


「いやいや、そんな主婦目線の情報、女子高生は知らないしー」

「た、たしかに」


「でもそっか。たくみんって一人暮らしだから、そういうのちゃんとチェックしてるんだね。えらいじゃーん♪ やるぅ! 陽菜ちゃんポイント10点進呈♪」


 陽菜がポイント加算しつつ、俺の胸をツンツンと人差し指で突ついてくる。


「ちょ、道端でそういうのは恥ずかしいっての」


 あちらの買い物帰りのマダムが俺たちを見ながら、ほのぼのとした笑みを浮かべてるじゃないか。


 絶対あれ「あらあら、若いっていいわねぇ」とか思われてるぞ。


 ちなみに陽菜ちゃんポイントは現状、大きくマイナスしている。

 まぁ増えても減っても陽菜の態度はまったく変わらないし──多分その場のノリと思われる──増減にあんまり意味はなさそうだが。


「別にこれくらい普通でしょー? うりうり、なに恥ずかしがってんだ、このシャイボーイめ~♪」


「普通かなぁ……?」

 普通って割りには、他の男子にやってるのは見たことないけどなぁ。


「そんなんだと、気付かないうちにたくみんに気がある女の子を逃がしちゃうぞー?」


「あはは、俺にそんな状況はありえないっての。それはそれとして、結局、陽菜は何してるんだ?」


「てきとーに散歩だよー。アタシの家、このすぐ近くだし」


 行動にハッキリとした明確な理由があることの多い陽菜にしては、目的もなく散歩するのはらしくないと、なんとなく思った。


 いやまぁ短い付き合いなんで、思っただけなんだけど。

 なので、もちろんそれを口に出しはしない。


「そっか。陽菜と木陰さんはここが地元なんだっけ」


 中学までとは違って、高校は周囲のいろんな地区から集まってくるから、みんな地元の中学までとは違って、なんか新鮮な感覚だな。


 ちなみに俺の地元は数駅隣だ。

 土日は親に顔を見せるために実家に帰ることも多い。

 近いからな。

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