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【書籍化】黒猫を拾ったら俺んちが二大美少女の溜まり場になった。【Web版】~2人の少女が恋したのは、昔の俺と今の俺――。  作者: マナシロカナタ(かなたん)★ネコタマ★3巻発売決定!☆GCN文庫
第4章 2人の少女が恋したのは、昔の俺と今の俺だった件。

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第55話「ま、そんな可愛い猫ちゃんを、今から食べるんだけどね」

 でもあれ?


『いろいろ込み』のいろいろって、なんだ?

 クロトを世話してる以外に、思い当たる節は特にないんだけど。


 小テストの勉強をした時も先生役は木陰さんで、俺と陽菜は2人して教えて貰うばっかりだったし。

 まぁ大した意味はないのかもな。


「もぅ、陽菜ちゃんってばー」

「でへへへ。つい、応援したくてさー」


「応援ってなんの話だ?」

「ごめんねー。たくみんにはー、内緒♪」


「なんだよそれ。気になるだろ~?」

「そんなことよりー。今は美月のクッキーでしょー。ほらほら、早く開けなってばー。美月の初めてを、御開帳~♪」


 おっと、そうだった。

 陽菜の言うことはもっともだ。


 でもその言い方は、度が過ぎるとまた木陰さんに怒られちゃうからな!

(俺はここも敢えてスルーした)


「じゃあさっそく食べちゃうな」

「う、うん。どうぞ……!」


 俺はリボンをほどくと、クッキーを一つまみした。

 木陰さんは真剣な表所で、じっと俺の手元を凝視している。


 木陰さんも初めてだし――エロい意味じゃないぞ!――俺の反応が気になるのはわかるけど、ここまでガン見されるとさすがに恥ずかしい!


「へぇ、猫の形してるんだ」


 取り出したクッキーにはネコミミな三角形が2つ付いていた。

 猫の顔を模した可愛らしいクッキーは、いかにも猫好きの木陰さんらしい。


「どうよどうよ? 凝ってるでしょ? 伊達に猫マニアは名乗ってないからねー」


 それをまるで自分のことのように自慢する陽菜。

 これまたものすごく可愛い。


 最近当たり前のようにキラキラ女子2人と一緒にいる俺だけど、どう考えても今の俺って、人生のラックを大量消費し続けてるよな。

 この先の人生の反動が怖いよ。


「別にそんなの名乗ってないでしょー。それにクッキー型があるから手間とかもかからないんだよ? 生地をこねて型で抜くだけだから、すごく簡単なの」


「こんな可愛い猫の型があるんだな」

「うん、実はそうなの」


「ま、そんな可愛い猫ちゃんを、今から食べるんだけどね」

「陽菜ちゃん、そういうこと言うのよくないと思うな」


「ご、ごめんってばぁ! ちょっとしたジョークじゃんかー! やだなぁ!」


 木陰さんに低い声で言われてしまった陽菜が、慌ててなだめるように謝った。

 本当に仲が良くて羨ましい。


 そんな仲良し2人の前で俺はクッキーを半分でパキッと噛み折ると、そのまま口の中へと入れる。

 サクサクっとした感触があって、優しい甘みが口の中に広がっていった。


「ど、どうかな?」

「めちゃくちゃ美味しい!」


「よかったぁ……」

 木陰さんは、胸に手を当ててホッとしたように深く息を吐いた。


「ははっ。こんなに上手に焼けてるのに、木陰さんは心配性だな」


「たーくみーん、にぶすぎー」

「え? なにが?」


「ま、いいけどね。それよりアタシもクッキー食べていい?」

「もちろん。陽菜ちゃんの分も持ってきてるから、みんなで食べよっ」


 木陰さんがクッキーが入ったビニール小袋をもう1つ取り出した。


「ありがと美月~! もぅ大好き~!」

「ちょっと陽菜ちゃん、くっつかないでってば~! クッキーが割れちゃうから~!」


「んー、美月は柔らかいから、だいじょーぶー」

「ちょっと、あっ、んっ♪」


「むふふーん。揉みり、揉みり♪」

「あんっ♪ 陽菜ちゃん、変なところ触っちゃだめぇ……あっ♪」


 へ、変なところ!?

 変なところってどこ!?

 なんか木陰さんが艶っぽい声を出しちゃってるんですけど!?


 仲睦まじすぎる2人による突然のボディコミュニケーションを前に、俺は慌てて回れ右をした。

 口の中のクッキーが、さっきよりも一段と甘くなったような気がした。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] そういえば、かなり少なめの話数で書籍化決定しましたけど、web版は早めに切り上げちゃう感じになるのかな? 応援はしてるし、書籍も当然購入するんですけど、ソコが少し不安というか…、複雑…
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