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【書籍化】黒猫を拾ったら俺んちが二大美少女の溜まり場になった。【Web版】~2人の少女が恋したのは、昔の俺と今の俺――。  作者: マナシロカナタ(かなたん)★ネコタマ★3巻発売決定!☆GCN文庫
第4章 2人の少女が恋したのは、昔の俺と今の俺だった件。

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第54話「……たくみんさんや? さすがに美月の時と反応が違いすぎやしませんかね?」

「えっと、あんまり期待しないでね? パティシエが作ったわけじゃないんだからね?」


 ヒャッホーイする俺を見た木陰さんが、恥ずかしそうに付け加える。

 しかしそこで陽菜が、ちょいちょいと俺の肩を指でつついてきた。


「美月はああ言ってるけどね? 美月ってめちゃくちゃ料理上手だからね? お弁当とか毎日自分で作ってるし」


「毎日お弁当を作ってるとか、それすごくね!?」

「でしょでしょ!?」


「べ、別にお弁当くらい普通だよぉ」

「普通じゃないだろ? 手間だってかかるだろうし」


「それがそんなに手間じゃないの。晩ご飯の残り物を使わせてもらったり、冷凍食品だって使ってるし」


「それでも毎日はすごいと思うな」


「だよねー。さすが美月だよねー♪ 家庭的だし、優しいし。男の子はこういう女の子は放っておかないよねー。ねー、たくみん?」


「……お、おう。まぁその、料理が得意な女の子は男子から人気あるよな」


 俺は軽めの肯定で、際どい質問をなんとかやり過ごす。


 このっ、陽菜のやつ、わざと答えにくい質問をしやがってからに!

 木陰さんが俺から好意を向けられてるとか思って、微妙な気分になったらどうするんだよ!


「そんなこと言って、陽菜ちゃんだってお弁当くらい自分で作れるでしょ?」


「アタシ、おかーさん弁当だしー。作れなくはないけど、早起きしてまで作るモチベはないしー。っていうか朝は眠いしー」


「陽菜ちゃんは昔から早起きするのが苦手だもんね」


「え? 陽菜って料理できるんだ?」

 俺はそこでつい、パッと思ったことをそのまま口に出してしまった。


「……たくみんさんや? さすがに美月の時と反応が違いすぎやしませんかね?」


 陽菜がにっこりと素敵な笑顔を向けてくる。

 しかし笑顔の中で、目だけがまったく笑っていなかった。


「そ、そんなことは……いえ、すみませんでした」


 俺は失言に気付き、思わず視線を逸らしかけて――でも踏みとどまって――しっかりと陽菜の目を見て謝った。


 勝手な憶測と先入観で失礼なことを言ってしまった。

 だからちゃんと謝るべきだと思ったから。


 すると俺の謝罪を聞いた途端に、陽菜の目がにんまりと小悪魔な笑みに変わった。


「あはは、冗談だってばー。そんなマジ顔しないのー♪ たくみんは心配性だよねー」

「な、なんだ。冗談かよ……」


 陽菜に嫌われたかと思って焦っただろ?

 モブ男子高校生は、女の子に嫌われることにすごく敏感で繊細なんだぞ?


 女の子に嫌われて過ごす高校生活とかもはや人生の墓場だろ。


「まー、ぶっちゃけー? アタシは料理とかしなさそうに見えるしねー。あはっ」


 陽菜がケラケラと楽しそうに笑う。


 それを見て俺は心の底から安堵した。

 いつものように、からかわれただけだと理解する。


 陽菜は何事もなかったかのように話を続ける。


「しかもね、男子にあげるのは初めてなんだよ? 美月の初めて、ちゃんと味わって食べるんだよー、たくみん」


 なんか言い方が絶妙にいやらしいな、と思ったのは俺だけか?

 指摘するとエロ男子と思われてガチで引かれる可能性があるから、何も気づいてない振りをするけどな!


「でも、俺なんかがもらっていいのかな?」


「クロトを拾ってくれたお礼とか、いろいろ込みで拓海くんに貰って欲しいなって。ダメかな?」

 少し不安そうに、上目遣いに聞いてくる木陰さん。


「そういうことなら断る理由はないよ。ありがたく頂戴します。本当にありがとう木陰さん!」


「そうそう、気兼ねなく貰っちゃいなよー。美月の初めてをー。むふっ」


「陽菜ちゃん?」

「ご、ごめんって~!」


 調子に乗り過ぎた陽菜が、木陰さんに静かに怒られて慌てて謝った。



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