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【書籍化】黒猫を拾ったら俺んちが二大美少女の溜まり場になった。【Web版】~2人の少女が恋したのは、昔の俺と今の俺――。  作者: マナシロカナタ(かなたん)★ネコタマ★3巻発売決定!☆GCN文庫
第4章 2人の少女が恋したのは、昔の俺と今の俺だった件。

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第53話 ブラッシング&クッキー

 それからも、2人は頻繁に俺んちに遊びに来た。

 もちろん俺と遊ぶためではなく、クロトと遊ぶために来ているわけだが。


 例えばある日。


「クーロト。抜け毛の季節でしょ? 猫ブラシ買ったから、ブラッシングしてあげるねー♪」


 みゃあ!


 陽菜が猫ブラシを持ってクロトを撫で始めた。


「どーだー?」


 ごろごろごろごろごろごろ!


 気持ちいいのだろう。

 クロトは盛大にのどを鳴らし始めると、もう立っていられないとばかりに床にコテンと横になった。


「ここか? ここがええのんか? うりうりー♪」

 そんなクロトの耳の後ろ、首のあたりを、陽菜は重点的にブラッシングしていく。


 するとクロトは気持ちよさを伝えるようにビタンビタンと、尻尾で床を叩き始めた。


 ビタンビタン!

 ビタンビタン!


「やだもー、かわいい~」


 そんなクロトの姿に木陰さんはメロメロだ。

 スマホで熱心に動画を撮影している。

 いつも熱心にクロトを撮っているので、容量が心配になっちゃうよ。


「はい、美月、交代。美月もやりたいでしょ?」


「ありがと陽菜ちゃん。クロト、今度は私がブラッシングしてあげるからね」


 みゃあ~ん。


 陽菜のテクですっかり骨抜きにされてしまい、ふにゃふにゃな(とろ)け声で鳴いたクロトを、続けて木陰さんがブラッシングする。


 ガシガシと結構強めにブラッシングしていた陽菜とは違って、木陰さんはゆっくりと優しくクロトを撫でていく。


 みゃあ~ん。

 ビターン、ビターン。


 しだいにクロトの動作が緩慢になっていく。

 今やクロトは完全に身体を弛緩させて、木陰さんのなすがままになっていた。


「クロトのやつ、半分寝てるんじゃないか?」

「寝てるかも。こいつー、可愛い顔しやがってー」


「陽菜ちゃん陽菜ちゃん、写真撮って撮って~」

「オッケーおけまる」


 なんてワイワイやりながらクロトを撫でまわす日があったかと思えば。



 明日の小テストの勉強を3人でしたり。

 選択科目の美術のデッサンの宿題をやったり。

 ストライクファイターVIをやったり。


 俺たちは3人と1匹でいろんなことをした。



 木陰さんがクッキーを作って持って来てくれたこともあった。


「日曜日にクッキーを作ったの。せっかくだから拓海くんも食べて欲しいなって思って。あの、美味しくないかも、なんだけど……」


 木陰さんが小さな透明の小袋に入ったクッキーを、通学カバンから取り出した。


「マジで? 食べる食べる! ありがとう木陰さん!」

「どういたしまして。そんなに喜んでもらえると嬉しいな」


「あはは、たくみんってばがっつき過ぎだしー。がっつき過ぎて、美月がビックリしてるじゃんー」


「うぐっ。でもすごく綺麗にできてるし、お店で売ってても不思議じゃない出来だぞ? こんなの絶対美味しいだろ?」


 ふおおおおおおお!

 オラ超やべぇもん貰っちまったぞ!?


 俺はアゲアゲになるテンションを抑えきれないままに、クッキーの入った小袋を木陰さんから受け取ると、手の中にあるそれをまじまじと見つめた。


 全男子の憧れ。

 キラキラ美少女のキラキラ手作りクッキーがそこにはあった。


 袋の口は、青色の細いリボンで結ばれている。

 この袋の中には1つの小宇宙ーー木陰さんクッキー空間が存在しているんだな(即興の謎ポエム)。


 そういや木陰さんは傘も青色だったし、青が好きなのかもな、なんてことをふと思った。

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