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【書籍化】黒猫を拾ったら俺んちが二大美少女の溜まり場になった。【Web版】~2人の少女が恋したのは、昔の俺と今の俺――。  作者: マナシロカナタ(かなたん)★ネコタマ★3巻発売決定!☆GCN文庫
第3章 俺んちが1年生美少女ツートップの溜まり場になった。(2)

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第52話「ふふっ、次も勝ってね、拓海くん」

「次勝ったら10連勝っしょ? たくみんってゲームの才能あるんじゃない?」

「ほんと、すっごく上手だよね。すごすご男子だよ」


「あはは。まぁうん、そうでもないよ。ほんと、今日は運がいいから」


「またまた謙遜しちゃって~♪ ランクマ始めてから勝ちまくってるじゃんか。このこのっ♪」

 陽菜が俺のほっぺをツンツンと突いてくる。


「ふふっ、次も勝ってね、拓海くん」

 木陰さんも楽しそうな声でエールを送ってくれた。


 俺のモチベもダダ上がりだ。

 2人が付いてさえいてくれれば、負ける気がしなかった。


 だがしかし。

 そこで悲劇が起こった。


 勝ちまくってレートが上がっていって対戦相手も強くなっていく中で、俺はマッチングした対戦相手の名前を見て思わず天を仰いだ。


「あー、これはちょっと無理っぽいなぁ」


「なんでさ? 勝負なんだからやってみないとわからないっしょ?」

「そうだよ。拓海くんは強いから、やってみないとわからないと思うなー」


 何も知らない2人はそう言って、今までと変わらず楽しそうに応援してくれるものの。


「それがさ。この対戦相手の人はプロなんだよ」


「プロって?」

「えっと、なに?」


 陽菜と木陰さんが両サイドから疑問の言葉を投げかけてくる。


「この力ワノって人なんだけどさ。ライセンスを持ったプロの格闘ゲーマーなんだ」


「プロって、プロフェッショナルってこと? このゲームの? そんなのあるの?」

「このゲームの専門家ってことだよね? そんなすごい人と当たるんだ!?」


「MASTERの中でレートを上げて上位にいけば、フリープレイ中のプロと対戦できたりするのも、このゲームの魅力なんだ」


 俺の腕前だと、プロと対戦できるような超上澄み・最上位帯にいくことは滅多にないし、マッチングの匙加減で格差マッチが起こってプロと当たれたらラッキー、ってなもんなんだけど。


 今日に限っては当たりたくなかったなぁ。

 

 しかも力ワノプロは俺と同キャラ、つまりGO-KI使い。

 キャラの性能差を言い訳にすらできない、完全な実力勝負だ。


 というかこの力ワノさんは、俺が時々配信を見てプレイの勉強もさせてもらっている人だった。

 つまり俺はこの人の劣化コピー。

 それも超が付くほどの劣化コピーだ。


 しかもアジア大会にeスポーツ日本代表として出場したこともあるトッププロだ。

 俺が勝てる可能性は限りなくゼロ。

 正直、100回やって運よく1回勝てるかどうかの相手だった。


 それでも俺はキラキラ女子2人が応援してくれるって状況もあって、必死にプロゲーマーに立ち向かう。


 しかし思いだけでは力の差はどうにもならず、開始早々から俺は完全に圧倒されてしまう。

 俺のGO-KIの攻撃はかすりもしないのに、向こうのGO-KIの攻撃は面白いようにヒットする。


 変幻自在かつ力強い立ち回りは、これぞGO-KIの真骨頂だ。

 さすがプロ。

 わかっちゃいたけどレベチだった。


 俺は普段の配信から垣間見える力ワノさんの癖や思考を、人読みでブッ込んで、今この試合に勝つために全力を尽くしたものの。


 ぶっちゃけガン処理されて負けてしまった。


「うーん、やっぱりムリだったかぁ。手も足も出なかったな」


 悔しいと思うことすらないレベルで、実力差があり過ぎた。


「んー、残念!」

「相手の人、上手かったね。さすがプロだね」


「そうそう、相手はプロなんだし気にしちゃだめだよ、たくみーん」


 陽菜が元気づけるように、俺の頭をポンポンと軽く触れるように撫でてくれる。

 陽菜ってノリ重視で割とズバズバ踏み込んでくる性格だけど、こうやって優しく励ましたりもできる女の子なんだよな。


「そうだよ。拓海くんは十分、上手だと思うな」

 そして木陰さんの手もそれに加わる。


 キラキラ美少女2人から頭を撫でてもらいながら、優しい言葉をかけてもらう俺。


「2人とも励ましてくれてありがとな」


 俺はフルボッコされて負けた後だったにもかかわらず、心は幸せでいっぱいだった。


 試合には負けたけど、人生には勝ったっていうか?

 ついそんな気がしてしまった俺だった。

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