第47話 俺のベッドでキラキラ女子たちが、くんずほぐれつ
ちょっ、まっ!?
き、ききき君たちってば、なんちゅうハレンチな格好をしてるんだ!?
しかも俺が普段寝ているベッドで!
特にスカートが短い陽菜。
四つん這いで木陰さんを押し倒している体勢だから、お尻が見えちゃいそうなんだけど!?
これもう見せパンだから見られてもいいとかそういうレベルじゃないよな!?
事案だよな!?
犯人は俺だ!
ご、ごくり……。
「ちょ、ちょっと陽菜ちゃん。なんで押し倒すの~!?」
「なんでって? なぜならそこにベッドがあるから?」
「なにそれ、意味がわからないよぉ」
「んふー、美月ってばー、あいかわらず柔らかくていい抱き心地ー。もうこのまま寝れちゃいそう。昨日の夜、動画見るの止まんなくて夜更かししたんだよね……ZZZ……」
「人のベッドで寝ちゃ駄目だってばぁ。制服もしわになっちゃうよぉ。拓海くんだって見てるし~!」
「み、見てない! 見てないよ! ぜんぜんほんと! 見てないから」
突然名指しされた俺は慌てて言いつくろいながら、際どいスカートから伸びて絡み合うおみ足から目を逸らした。
しまった。
キラキラ女子たちがベッドの上で織りなすイチャコラに、つい見とれてしまっていた。
木陰さんは、俺が際どいアレやコレを見ていると非難したわけではなく、俺がいる前で変なことをするなって陽菜に言ったんだろうけど、やっぱり見ちゃいけないものは見ちゃいけない。
指摘されなければ見ていいとうものでもないからな。
それは俺みたいなモブ男子Aにも仲良くしてくれる2人に対する背信行為だ。
「おーっと、そうだったー。たくみんもいたんだったけ」
「いたんだったけ、って。そもそも俺の部屋だからな?」
「そうともゆー」
陽菜がシュタっとベッドから飛び降りる。
学年で1番短いスカートがひらりと舞った。
だからそういうのはよくないと俺は思うな!
(青少年保護育成条例的に)
「そうとしか言わないでしょ」
遅れて木陰さんも、乱れた制服をさりげなく直しながらゆっくりとベッドから降り立った。
なんか濃密だったな。
まだ部屋に入っただけだってのに。
さすがキラキラ女子はすごい。
平凡な俺の部屋が、2人が来ただけでキラキラルームへと変貌してしまうんだからさ。
「それで、何の話してたんだっけ?」
陽菜が右手の人差し指を口元に当てながら聞いてきた。
「えぇっと、俺の部屋に物が少ないって話だったっけか?」
「盛大に脱線したねー」
「脱線させたのは陽菜だよな?」
「そうだっけ? まぁそれはそれとして、美月の部屋もあんまり物を置いてないよね」
「あんまりごちゃごちゃしてるのは好きじゃないから。落ち着かなくなるっていうか」
「俺もあんまりごちゃごちゃしてるのは好きじゃないかな。生活スペースが狭くなるし、掃除も手間になるしさ」
「うんうん。だよね~」
意見が一致してちょっとだけ盛り上がる俺と木陰さん。
「なになにー? 美月とたくみんは気が合いそうじゃん? そういう価値感の一致って、何をするにしても大事だよね。気を使わないでいいし」
「まぁ、そうかな?」
価値観は合わないよりも、合ってる方がいいだろう。
俺もそれに異論はない。
「逆に陽菜ちゃんのお部屋は、あんまり片付いてないよね」
「なんだ、陽菜ってもしかして汚部屋なのか?」
「うがー! 汚部屋ちがうし! この口か! この口が言ったんかー!」
陽菜が俺の両ほっぺをギュムムっと引っ張る。
それ、けっこう痛いんだが。
「ご、ごめんって」
陽菜は俺の謝罪を聞き入れると、ほっぺギュムムを止めてくれた。
「アタシはどっちかって言うと、あんまり物を捨てられないタイプかな」
「陽菜ちゃん、物持ちいいもんね。割となんでも長く大事に使ってるし」
「買い替えるものは買い替えるけどぉ。でも使えるものは大事に使わないと、もったいないっしょ? なんでもメリハリが大事だよねー」
「いいこと言うな」
「でしょでしょ? さすがアタシ♪」
「そんなドヤ顔するほどのことでも、ないと思うが……」
などと他愛もないお部屋談義をしていると、
「かーらーのー、不意打ちでベッドの下チェーック♪」
陽菜が突然ベッド脇にしゃがみこむと、体勢を低くしてベッドの下を覗き込んだ。




