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第3章 俺んちが1年生美少女ツートップの溜まり場になった。(2)

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第42話 クロト vs 木陰さん(猫じゃらしバトル)

「クロト、おいで~」


 床に立て膝をついた木陰さんが、クロトを呼びながら釣り竿タイプの猫じゃらしを小刻みに揺らす。


 釣りの時に、疑似餌を動かすために竿を上下させるような動作だ。


(あまり詳しくはないんだけど、昔、父さんと釣りに行った時にそうすると魚が食い付くのだと教えて貰った。知らんけど)


 シュバッ!

 テテテテテテテテッ!


 するとクロトは一瞬で床まで降りてくると、猫じゃらしに向かって一目散に駆け寄ってきた。


「おおっ!」

「わわっ!?」


 ビックリして思わず大きめの声をあげた俺と陽菜(いつの間にかスマホを構えている)に、しかしクロトは見向きもしない。


 クロトがロックオンしているものはただ1つ。

 釣り竿の先にぶら下がるもふもふだ!


 クロトは木陰さんの前に行くと、木陰さんがゆらゆら揺らす猫じゃらしの前で、動きに視線を合わせるようにして、顔を動かし始めた。

 右前足が地面から少し浮いて、猫じゃらしの動きに合わせてピクッ、ピクッと反応する。


「ほら、クロト、にゃにゃーん♪」

 木陰さんがにゃにゃーんと猫じゃらしをリズムよく上下に揺すり始めると、


 シュバッ!


 ついにクロトは右前足で鋭いネコパンチを繰り出した!


 しかし木陰さんは普段のおっとりした姿からは打って変わって、持ち手の釣り竿を鋭く上に振り上げて、猫じゃらしを跳ね上げる!

 クロトの右前足が盛大に空ぶった。


「おおっ!?」

「美月やるぅ!」


「えへへ……」


 しかも一度きりのまぐれではない。


 木陰さんが操る猫じゃらしの鋭い動きの前に、


 シュバッ! スカッ。

 シュバババ! スカスカッ。


 クロトの右前足は何度も何度も空を切った。


「ふふふ……!」

 見るからにご満悦な様子で、猫じゃらしを操る木陰さん。


「すごいな。クロトの動きも速いのに、木陰さんは完全にその上をいっている」

「家での練習の成果がバッチリでたねー、美月」


「えへへ、うん!」


 俺たち2人から盛大に褒められて、はにかみながらも力強くうなずいた木陰さん。

 しかしそれとは対照的に、クロトは臨戦態勢に移りつつあった。


 今まではお座りポーズで右前足を出していたクロトが、僅かにお尻を浮かせている。

 その目は完全に野生を宿していた。


「クロトが完全にやる気みたいだな」

「美月がんばれー、負けるなー」


「うん! 行くよクロト!」


 木陰さんvsクロトの第2ラウンド、ファイッ! カーン!!


 木陰さんが再びゆらゆらと猫じゃらしを揺らす。

 クロトも再び猫じゃらしの動きに合わせて右前足をピクピクさせながら、攻撃のタイミングをうかがう。


 緊張感が漂う中、電光石火の一撃が疾走(はし)った!


 クロトの右前足が鋭く振り抜かれ、木陰さんが鋭く振り上げたもふもふの先っぽに爪を1本引っかける!


「おおっ!?」

「クロトやるぅ!」


 そしてクロトは右前足で引き寄せたもふもふを両手で掴んで抱え込むと、そのまま倒れ込んだ!

 そしてガジガジ噛んだり、両足で猫キックをゲシゲシ連発したりと、モフモフに対して盛大な攻撃を開始する。


 ガジガジガジガジガジ!

 ゲシゲシゲシゲシゲシ!


「あーぁ、やられちゃったぁ……でもガジガジゲシゲシするクロト、可愛いっ♪」


「クロト、ちょお必死じゃーん。ウケるー!」

「これ完全に獲物と勘違いしてないか?」


 俺たちの目の前でボッコボコにされるもふもふ。


 木陰さんはクロトからもふもふ部分を取り返そうと竿を引っ張るものの、クロトは「こいつは俺の獲物だぜ!」と言わんばかりに激しく抵抗する。


 ガジガジガジガジガジ!

 ゲシゲシゲシゲシゲシ!


「クロト、お前マジ必死だな……」

「あはは、必死なところがまだまだ子猫って感じだよねー。ちょおウケるー」


「ねぇねぇ陽菜ちゃん、今、撮ってるよね? あとで動画ちょうだい?」

「りょーかーい。たくみんも見たいだろうから、グループラインで送っとくー」


「陽菜ちゃんありがと♪」

「サンキュー陽菜」


 この可愛さだ。

 猫好きの木陰さんでなくとも、何度でも見返したくなるのは間違いなかった。

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