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【書籍化】黒猫を拾ったら俺んちが二大美少女の溜まり場になった。【Web版】~2人の少女が恋したのは、昔の俺と今の俺――。  作者: マナシロカナタ(かなたん)★ネコタマ★3巻発売決定!☆GCN文庫
第2章 俺んちが1年生美少女ツートップの溜まり場になった。(1)

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第35話「意外と近くに運命の相手がいるかもよ? ねー、美月♪」

「ほらこれ。お内裏様とお雛様」


「わおっ、すごっ! めっちゃいいじゃーん! 綺麗じゃーん!」


 陽菜が盛大に騒ぎ立て、


「お雛様の着てる十二単とか、すごく細かく作られてるよね」


 木陰さんは興味津々って感じだ。


「見るからにいいとこのお嬢さまって感じがするよな」


「するする! ちょおする! しかも保存状態もすごくない? シミ一つついてないよ?」

「大事な思い出ってことが、すっごく伝わってくるよね。いいなー」


「こりゃ、ばあちゃんも捨てられないよな」


「だよねー」

「これは絶対に捨てられないよ」


「大事にしまってあるし、きっと子供や孫に女の子がいたらプレゼントしたんだろうけど、うちの家系ってみんな男だったんだよなぁ」


 こればっかりは俺にはどうしようもないことなんだけど、ばあちゃんがこのひな人形に持っていた想いとかを察すると、少しだけ申し訳なく感じてしまう。

 そんなことを考えていた俺に、


「だったらお祖母ちゃんが生きてる間にたくみんが結婚して、女の子が生まれたら飾ってあげないとだねー」


 陽菜が妙に楽しげに言ってきた。


 俺の肩を持つ手がニギニギされる。

 接触強度が上がるに比例して、恥ずかしさが増していく。


「そんな先のことを言われてもな」


「なに? たくみんは彼女とか結婚とかあんまし興味ない感じ? お一人様志向? それとも草食系?」


「そういうんじゃなくて、そもそも女の子とそういう関係になるのが難しそうっていうか」


 高校生にもなって、俺にはつい昨日まで彼女どころか、仲のいいガールフレンドがいたことすらなかった。


 クロトを助けたことで奇跡的に陽菜と木陰さんと仲良くなれたが、これはマジで奇跡以外の何物でもなく、ぶっちゃけ偶然の産物だと思ってる。


 再現性は限りなくゼロ。

 つまり現状の俺では結婚とか以前の問題だ。


「そんな悲観的に考えなくても、意外と近くに運命の相手がいるかもよ? ねー、美月♪」

「ひ、陽菜ちゃん! だからそういうんじゃないってばぁ」


「えへへへー♪」

「えへへーって。もぅ、ほんと陽菜ちゃんは口が軽いよね。ヘリウムガスでできてるよね」


 ヘリウムガスってアレか。

 風船の中に入ってるやつか。


「そんなことないしー。本当に大事ことは絶対に漏らさないしー。女の友情だしー」


「なぁなぁ。なにが『そういうんじゃない』だ? っていうか何の話をしてるんだ? 俺の話をしてたはずなのに、途中から木陰さんの話になってたっぽいけど」


「ごめんねたくみん。これは女の子同士のお話なの」

「そうなのか。悪い、上手く話についていけなくてさ」


「謝らなくてもいいってー。それにそのうち、たくみんにも関係するかもしれないしね♪」


「え? 俺に? そうなのか?」


「するかもしれないしー、しないかもしれない的な?」

「悪い、やっぱりよくわからないな……」


 キラキラ女子の移り気なキラキラトークは、どうやらモブ男子には理解が難しいようだ。


「も、もうこの話はいいと思うなぁ!」


 と、木陰さんがちょっと強い口調で言った。

 少し興奮しているのか、若干顔が赤い。


「あ、ああ。わかった」


 イマイチ腑に落ちなかったものの、木陰さんが強く主張してきたので、俺はそれ以上は根掘り葉掘り聞くことはしなかった。


 人の嫌がることはしない。

 当然だ。


「でもアタシお店以外でひな人形を見るのって、初めてかも? あ、でも小さい頃に美月の家で見たっけ……? あったよね?」


 すると陽菜は、それはもうあっさりと話を雛人形へと戻した。

 本当にトークの流れが早い。

 急流下りでもしているかのようだ。


 というか俺、キラキラ女子たちのトークの流れの速さに、ぜんぜんついていけてないの、ちょっとヤバくね?


 若い子の話についていけないオジサンみたいじゃね?

 いやん!?


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