表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】黒猫を拾ったら俺んちが二大美少女の溜まり場になった。【Web版】~2人の少女が恋したのは、昔の俺と今の俺――。  作者: マナシロカナタ(かなたん)★ネコタマ★3巻発売決定!☆GCN文庫
第2章 俺んちが1年生美少女ツートップの溜まり場になった。(1)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/76

第25話 初恋の夢は黒猫とともに。(1)

 夢を見ていた。


 とても懐かしい夢だ。


 今から5年ほど前、夏休みに数日ほどばあちゃんちに来ていた俺は、その最後の日に、特に何をするでもなく近所をブラついていた。


 Tシャツにハーフパンツ、サンダルというラフな格好で、すぐ近くにある公園の前を通りかかった時、


「あれ、あの子……」


 俺と同い年くらいの子が、公園に止めた自転車の横でうずくまって、何やらカチャカチャやっているのが目に入った。


 前カゴ付きのダサいママチャリでなく、全男子の憧れである多段変速のイケイケなマウンテンバイクだ。


 フレームは鮮やかなメタリックブルー。

 スタイリッシュでバチクソカッコいい。

 ピカピカで傷一つ付いてないので、多分買ったばかりの新品だ。


 だけどチェーンが外れてしまって、その子は困っているらしかった。


 公園で困ってる男子がいたら助けてあげる。

 これは公園で遊ぶ公園男子のオキテだ。


 大昔、昭和と呼ばれる(いにしえ)の時代の頃は、それぞれのグループで場所の取り合いをして、時にはケンカになることもあったらしいが、令和の今は違う。


 ドッジボールをしたり、鬼ごっこをしたり、スマブラをしたり、ポケモンをしたり。

 公園は男子の社交場なのだ。

 みんなで仲良く遊ぶために、僕らはみな助け合う。


 なによりこの前、友だちにチェーンのハメ方を教えて貰ったばっかりだったので、僕にはちょっとだけ自信があった。


 僕は公園に入ると、その子に近付いていった。


「ねぇ君、チェーンが外れちゃったの? 僕、多分だけど直せるよ」


 いかにも困ってそうな様子で自転車の前にしゃがみこんでいた子は、驚いたように振り返った。

 だけどその顔を見て、声をかけた僕の方がビックリしてしまった。


 というのも、


「ほんと? 直せるの?」

 振り返った子が女の子だったからだ。


 しかもめちゃくちゃ可愛い女の子だった。

 一目見ただけで、クラスの誰よりも可愛いと断言できてしまう。


 うわっ、しまったな。

 公園と自転車――しかもカッコいいマウンテンバイクだ――って組み合わせだったから、完全に男の子だと思い込んでいた。


 よく見るとスカートだし。

 でもスカート丈は短くて、しゃがんでる太ももの下に織り込んでたから、後ろからはハーフパンツに見えていたんだ。


 実は僕は、女の子と話すのが少し苦手だった。

 女の子と面と向かうと、それだけでとても緊張してしまう。


 しかも今はその相手が超が付く美少女ってこともあって、既に僕の緊張はカンスト寸前だった。


 でも自分から声をかけた以上、今さら引き返せはしない。

 僕は緊張しながらもがんばって会話を続ける。


「うん。この前友だちにやり方を教えてもらったばかりだから、多分できるはずだよ」


 僕はそう言うと女の子の隣にしゃがみこんだ。


 とりま、身体を動かそう。

 顔を見ているとそれだけで恥ずかしいから。


「まず前のギアにチェーンをしっかり噛ませるんだ」

「ふんふん」


 女の子はやり方を覚えようとしているのだろう、僕の身体に密着するように身体を寄せて、手元を覗き込んできた。


 一瞬チラリと横を見ると、すぐ隣にアイドルみたいな綺麗な顔があって、僕はさらに緊張してしまって、慌てて視線を自転車のチェーンへと戻した。


「次は後ろの一番大きいギアの、下側にチェーンをはわせて、と」


「うーん、大きいギアにはチェーンは巻けないよ? 何度かやったんだけど、チェーンの長さが足りないし」


「大丈夫。この状態でペダルをゆっくり回せば、後ろのギアがチェーンを巻き込んでいくはずだから」


「そうなんだ?」

「うん、多分」


 僕は心の中で「お願い!」と祈りながらゆっくりとペダルを手で回す。

 すると――、


 カチャ、カチャ、カチャカチャカチャカチャ――。


 軽快な音がして、マウンテンバイクのチェーンは後輪ギアにガッチリ噛み合った。


 やった!

 一発で成功だ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 小三でしょ? この出会いの前後で、こかげんが転校して来たってコトですよね? ちょっと「運命」じみてていいよね( ̄▽ ̄)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ