表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】黒猫を拾ったら俺んちが二大美少女の溜まり場になった。【Web版】~2人の少女が恋したのは、昔の俺と今の俺――。  作者: マナシロカナタ(かなたん)★ネコタマ★3巻発売決定!☆GCN文庫
第1章 俺と子猫と1年生美少女ツートップ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/76

第17話「でしょでしょ? たくみんだって女の子のスカートは短い方が好きだよねー」

「だって制服の着方がだらしないとか、スカートが短いとかどうでもいいことばっかり言ってくるんだもん。おしゃれしてるだけじゃんかー。普段は個性は大事にとか言ってるくせにさー。ちゃんと校則だって守ってるし、見せパンだって履いてるのに」


「確かに個性は大事って、入学式でも校長先生が言ってたもんな。その意見には俺も賛成だよ」


 陽菜の言う通り、スカートがちょっと短いくらいは個性の範囲内だろう。

 なにより俺は、陽菜がルールの範囲内をしっかり意識してファッションを楽しんでいることに驚いていた。


 一見パッションで生きてるように見える陽菜だけど、何も考えずに流されるまま「普通」をしているだけの俺なんかよりも、はるかに真剣に人生を生きているんだ。


 すごく大人で、すごくカッコいい。

 こんな生き方が俺にもできたらな、などと俺は心の中で思った――のだが。


「でしょでしょ? たくみんだって女の子のスカートは短い方が好きだよねー」


「だからそういう答えにくい質問は、しないで欲しいかなぁ!?」


 前言撤回!

 陽菜はパッションの(おもむ)くままに好き放題言ってるだけだ!

 変に深読みした俺がバカだったよ!


「えへへ、めんちゃい。たくみんは反応が可愛いから、ついついからかっちゃうんだよねー」


「完全に遊ばれてる……」


 だけど嫌な気分はまったくしなかった。

 陽菜の言動には、俺と仲良くなりたいって素直な気持ちは感じられても、バカにしようとかそういう悪意が、まったく感じられないから。


「だってそういう男子って、あんまりいないじゃん? なんか新鮮」


「いや、割といるだろ? むしろ多数派じゃないか?」


「そんなことないしー。たくみんはレア枠だよー」

「そうかなぁ……?」


 もしかしたらキラキラ女子たちの周りには、女子とのトークに慣れてないモブ男子はいないのかも?


「で、結局どっちが好きなの?」

「その話、まだ続くんだ……」


「アタシみたいに短いスカート? それとも美月みたいに長いスカート? どっちかなー?」

「えーと……」


 その修飾語の付けかた、マジやめて欲しいな!

 陽菜と木陰さんのどっちを選ぶの? みたいな質問になっちゃいかねないよね!?


 チラリと木陰さんに視線を向けると、木陰さんは妙に真剣な顔で俺を見ていた。


 え、なに?

 これそんな大事な質問なの?


「3、2、1、0、はいどうぞー」

 陽菜が俺の口元にエアマイクを向けてくる。


「ふ、普通の長さかな?」

「ブブー! そういう不誠実な答えは求めてません」

「むぐ……」


「うりうり、素直に言っちゃいなよ。短いスカートが好きなんでしょー?」

「あーいや、その……」


「だいじょぶだいじょぶ。ここだけの話にしといてあげるからー。こう見えてアタシ、結構口が堅いんだよ? もちろん美月も」


「えーっと……」


「もぅ陽菜ちゃん、あんまり拓海くんを困らせちゃだめだよ?」


 俺が答えに窮していると――スカートなんて短い方が好きに決まっているがエロ猿男子と思われたくなくて言えなかった――木陰さんが助け舟を出してくれた。


 木陰さんは本当に優しいなぁ。


 しかし陽菜は木陰さんをわずかな間、じっと見つめると言った。


「美月さぁ」

「な、なに?」


「たくみん男子なのに平気だし、なんか妙にたくみんの肩を持ってないー?」


「そ、そんなことないよ?」


「ふーん。そう?」

「そ、そうだよ。やだなぁ陽菜ちゃん」


「ふーん」

「な、なに?」


「美月はたくみんみたいな男子がタイプだもんねー」

「な、なんで急にそんな話になるのかなぁ!?」


 木陰さんが焦ったように両手を左右に振った。

 全力で全否定されたみたいでちょっと悲しい俺。


 もちろんわかってるよ。

 俺がキラキラ女子の恋愛対象外だってことくらい。


 でも悲しいものは悲しいんだ。

 男子とはそういう哀れな生き物なのである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ