表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】黒猫を拾ったら俺んちが二大美少女の溜まり場になった。【Web版】~2人の少女が恋したのは、昔の俺と今の俺――。  作者: マナシロカナタ(かなたん)★ネコタマ★3巻発売決定!☆GCN文庫
第1章 俺と子猫と1年生美少女ツートップ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/76

第11話 「陽菜」と「木陰さん」

「ううん、別にいいよ? って、もしかしてたくみん照れてる? かわいー、ウケるー!」


「か、可愛いとか言うなよな」


 そりゃ照れるだろ。


 天野さん――陽菜みたいな可愛い子に「たくみん♪」なんて可愛らしく呼ばれたり、「陽菜」なんて名前で親し気に呼び捨てしたらさ。


 なにせ俺はついさっきまでキラキラ女子とは無縁の、ただクラスが同じというだけでしかないモブ男子Aだったんだぞ?


「ごめんね中野くん。陽菜ちゃんの『ウケる』にはたいした意味がないの。だからぜんぜん、バカにしてるとかじゃないんだからね?」


「ああうん、了解」

 心配性な木陰さんに、俺は笑顔を返した。


「美月ー、呼び方ぁ~」

「えっ、わたしも……?」


「なにその反応ー? 美月はたくみんのことを、友達って思ってないわけ?」

「えっ、ええっ!?」


「ううっ、可哀想なたくみん。でもアタシはたくみんのこと、友達だって思ってるからね。あとでライン交換しよっ♪」


「え、いいの?」

「もちもち!」


「陽菜ちゃん、わたしは別にそんなこと言ってないもん」

「ふーん。じゃあいいよね。3、2、1、0、はい、どうぞ♪」


 陽菜のマシンガントークの前に、木陰さんは軽々と手の平の上で転がされてしまった。

 うーむ、すごい。

 このトーク力には一生勝てる気がしない。


「た、『たくみん』はその、恥ずかしいから……拓海くんって呼んでもいいかな?」

 木陰さんが上目づかいでおずおずと提案した。


「もちろんだよ……木陰さん」


 俺はなんと呼ぼうか少し悩んでから、今まで通りに木陰さんと「名字+さん付け」で呼んだ。


「木陰さん? うーん、ちょっと他人行儀すぎない? ふつーに美月でいいじゃん」


 しかし陽菜から速攻でダメ出しをされてしまう。


「普通……なのかな?」

「ふつーでしょ?」


 さらにノータイムで即答されてしまった。


「でも今日ずっと木陰さんって呼んでたから、俺の中ではもう木陰さんは木陰さんなんだよなぁ」


「ふーん。ま、あるよね、そういうこと」


「えらくあっさり納得してくれるんだな?」

「固定観音て言うんでしょ? 知ってるよー」


「陽菜ちゃん。固定観音じゃなくて、固定観念だよ」

「……そうとも言うかも?」


「そうとしか言わないし。でもそういうことなら、わたしもやっぱり中野くんで――」

「それは却下」


「ええっ、なんでよ陽菜ちゃん?」

「だってアタシだけたくみんって呼んでたら、ちょっとハズイじゃん?」


「なんだ、実は恥ずかしかったのかよ」

「えへっ、ちょっとだけね。男子を名前で呼ぶことってあんまりなかったから」


 陽菜は明るいし社交的だし、交友関係が広そうなんだけど、意外と男友達はいないタイプなんだな。

 なにか理由でもあるのか聞いてみたくもあったが、さすがに今日初めて話した間柄では踏み込み過ぎな質問というものだろう。


「じゃあ2人は拓海くんと木陰さんで決定ね♪」


「あ、はい……木陰さんです」

「え、えっと拓海くんです」


 俺と木陰さん――美月はぺこりぺこりと、そろって頭を下げ合った。


「2人してなんで変な自己紹介したの?」


「えっと、なんとなく……」

「俺もなんとなく……」


「あはは、2人ともウケるー!」


 挙動不審な俺と木陰さんを見て、陽菜がお腹を抱えて笑った。



「で? 美月はなんで猫を抱っこしてるのかな? 可愛いけど」


 陽菜が木陰さんの抱いている子猫に顔を近づけると、


 ミャア?


 ここまで木陰さんの腕の中でぬくぬくしながら、俺たちのやり取りを素知らぬ顔でスルーしていた子猫が、近づいてきた陽菜の顔に反応して、目を大きくクリクリさせた興味深そうな顔を向けた。


「それも含めて、今日のいきさつとかを話したいから、いったん家の中に入らないかな? まだ雨が降ってるしさ」


 小雨になったとはいえ、完全に上がったわけではない。

 子猫を抱いてる美月も、いつまでも抱きっぱなしだと腕が疲れるだろうし。


「ん、りょーかーい」


 ヘッドロックして家に入るのを妨害したさっきとは打って変わって、陽菜は簡単にOKしてくれた。


 というわけで。


 無事に誤解を解いて、陽菜と美月の美少女ツートップと友達になった俺は、2人を俺んち――正確にはばあちゃんちだが――の中へと案内した。



 え!?

 木陰さんだけでなく陽菜まで。

 美少女ツートップが2人揃って俺んちに来るとか、え、マジばな!?!?Σ(・ω・ノ)ノ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 陽菜はホントに木陰さんのことが好きなんだね。 だからこそ、無害そうなたくみんを推してるんでしょ?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ