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『愛のため、さよならと言おう』  作者: 設楽理沙


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 私は買い物もそこそこに家へと飛んで帰り、すぐに山下さんへ送る

メールの文章の下書きをしたためることにした。


 とまれ……だめだわぁ~折角の申し出を一度はOKしていたのに

後から断ったのよ。


 今更何と言ってやっぱり行きたいですなんて言えるの。

 厚顔にも程があるわよね。



 出先ではやっぱり行きますって連絡しようという強い気持ちに動かされて

ひとっとびに勢いを付けて自宅に戻ったものの、少しもボールペンは

動いてくれやしない。


 百子は椅子の背もたれに凭れて仰け反り、大きなため息を吐いた。



『う~ん、なんて書けばいいのだろう』

 悩まし過ぎた。



 逸る気持ちのままに飛んで帰るも、結局その日の内に連絡することは

叶わなかった。


 どうしよう、どんな文章を書けば……

そればかりが頭の中をグルグル駆け巡り心あらずになっていたせいか、

ハンバーグのタネを作るのに卵と片栗粉やパン粉の配分を間違えてしまい、

べちょべちょのタネにしてしまった。


 そんな風にその夜のおかずはとんでもなくえらいことになってしまった。



            ◇ ◇ ◇ ◇



 翌日は日曜日で20才になる大学生の娘は

大学の友だちに会うとかで出掛けていった。



 私は家でだらけてゲーム三昧している息子と二人きりなので素早く

冷凍してあるピザシートを使っていつもより少し手抜き気味のピザを

ささっと作り、午後からの自分の時間を確保。



 さぁ、落ち着いて考えるのよ~山下さんへの文を。

 お断りをした日からまだほんの4~5日。



 治るのが早すぎると訝しがられるかもしれないけれど

『脚の調子がよくなったので』というのが一番自然なように思えた。



 まさか嫉妬心がとけてなくなったからだなんて言えないもの。



『山下さん、こんにちは。先日は大変失礼致しました。

 あれからまだ数日しか経ってないのですが思ってたよりも早く

脚の状態が良くなりましたのでやはり異人館街へご一緒させて

いただきたいと思います。

 

 まだ大丈夫でしょうか? 可能でしたらぜひ宜しくお願いします』



 私は自分の作った無難な文章をこれでもかというほど何度も読み、

メールで送った。


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