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『愛のため、さよならと言おう』  作者: 設楽理沙


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 そっか、私のことで嫉妬してたんだ。


 でも後から私が映画の原作者だと思い出し、普通にデートしてたのではないと 

分かり、ほっとしたというわけね。



 そーか、そーか。

 私もちょっとは山下さんが自分を誘ってくれた意味というか理由というか、

私の中での『何故? どうして私なんかを誘ってくれたのだろう』という理由が

ほんの少しばかし分かったような気がして気分が少し浮上した。



「北野、次の作品の舞台にするにはいいところですよね。

 次の作品も期待しておりますね。

 お忙しい所お引止めしてすみません。では失礼いたします」




「失礼します」


 きゃあ~島本さん、私こそ今日あなたと話せてよかったわ。

 ほんと、吃驚した。


 彼女私のことを知ってたし、PNまで覚えてくれていて。


 だけどあの日の私たちの行動は実際は次の作品の為ではなくて……

たぶんただの観光のようなものだったはず。



 山下さんはそもそも、私の作品を見出してくれてコミカライズした後、

映画化への話を繋いでくれただけで、その後一切小説の話などしてきて

いない。



 だから、なぜ今も私と交流してくれているのかがよく分からないのだ。


『なんでなの、山下さん』


 私のほうから『次の作品読んでみてください』って言うのを待ってるとか?  

 ううん、ぜんぜんそんな気配はなかったと思う。



 山下さんに北野行きを誘われた日から私の頭の中をグルグル駆け巡って

いること、それは今も続いているけれど、分かったことが少しある。



北野異人館街行きへは、彼女からの誘いは断っているのに私とは一緒に行き、

次も行きましょうと誘ってくれていたということ。


 彼女は私たちが北野にいたのは仕事絡みだったのだと思い込んでいるようだ

けれど、今のところ街ブラに仕事は介在していないということ。


 


 私はここにきて、何か大きな間違いをおかしているのではないかということに 

気がついた。


 はっきりとはしていなくて単なる思い違いってことになるかもしれないけれど、

芽生えていた芽をここで自ら余計なことを考え過ぎて摘んではいけないような気が

した。



 そして何より選択された側というのは酷く心の慰めになった。


 だって多少の好意がなければ仕事の関係性もないのに

外で会おうなんて誘ったりしないと思うから。


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