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『愛のため、さよならと言おう』  作者: 設楽理沙


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 百合子に慰謝料を請求した後で、すぐさま実の父親である可能性が高い

早瀬誠という男にコンタクトを取った。



 百合子の夫だが百合子と翔麻のことで話があるのだと伝えて。



 百合子と出会った時、自分には妻子がいた。

 そのような状況の中、自分は妻子を捨て百合子と暮らし始めた。


 しかし、妻との取り決めでまだ籍は入れていないということと

認知もまだであることを告げるとその顔が曇った。




「いろいろ元妻との交渉で子が小学校に上がるまでに離婚するということに

なっていて、約束通り元妻はちょうど一年前の今頃、離婚届を出していたようです。


 彼女から届けを出したことは知らされなかった為、しばらく私はそのことを

知らずにいました。



 時期的に言いますと、元妻が離婚届を出した数か月後、私の会社が

危うくなりつつある状況の中、百合子は実家に帰ると言ったきりこちらへ

戻ってはきませんでした」




「失礼ですが、どうして今頃……疑いをもたれたのでしょうか?」




「疑問はごもっともです。

 ほんとに神の采配としか。

 ある人の疑問視からと言えばいいでしょうか」




「元奥さんでしょうか?」


「そうじゃないとも言えるし、そうだとも。

 ちょっと説明が難しいのでこの辺でご納得ください」




「僕が彼女を受け入れたのは、結婚した時にはあなたの子だと思い結婚した。 

 だがその後あなたの子ではないことが分かり家を追い出された。

 夫との間の子でないなら、この子は僕の子だから……と。

 

 子供に僕と同じ特徴も見受けられることと、見た目がよく似ていることから

僕の方では鑑定はしていません。

 慰謝料は子供を養育して下さったということで僕が用意させて

いただきます」





「そう言っていただけると助かります。

 わたしも事業で痛手を被っていなければ慰謝料までは請求しなかったかも

しれませんがね。


 実際今、年老いた両親を抱えていっぱい、いっぱいなものですから。

 彼女は家を出る時にかなりの預貯金を持ち出してますから、全額

あなたが出すことにするのか熟慮されたほうがいいですよ。


 それとよけいなお世話かもしれませんがご忠告させてください。

 彼女は既婚者と深い関係になれる女性で、その既婚者の妻や子供たちから

夫や父親である男を奪うことに躊躇しない女性であるということ。


 別の男の子を育てさせることも平気であるということ。

 酷いことをしてきた私がどの口で言うのか……ではありますが、

言わせてください」





「お会いできてよかったです」



「もうお会いすることもないですが、息子の……息子さんの幸せを願ってます」



「ありがとうございます。

 ほんとに、よくよく考えて息子が幸せになれる道を考えてやろうと思います」



 俺が我が子と信じて5年近く育ててきた息子の実親の早瀬誠との、

最初で最後の面談が終わりを告げた。




 彼が全てをひっくるめて百合子を受け止めるのか、はたまた別の道を歩むのか、

もう俺には知る術はないだろうが、何かがひとつ終わったという充足感があった。







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