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暦は12月に入っていた。
寒い居間で毛布に包まり震えながら集う家族3人。
灯油どころかストーブを買うお金さえなかった。
暗い表情の伸之が立ち上がる。
「伸之、どうした」
「直近で必要なものを買うお金の工面に出掛けてきます」
「何もかも失くしたお前に金を貸してくれるような、そんな人間がどこに
いるというんだ。
もしかして、百子さんのところへなのか?
お前には話してなかったが お前たちの別れ話が出た時、
百子さんを呼び出して酷いことを言った。
息子のことを詫びるどころか仕事のパートナーになれないのだから
潔く身を引けと言ったよ。
こんな冷血漢親子の為になどビタ一文出したくはないだろうよ」
父親の言葉に伸之はショックを隠せなかった。
しかし、もう行けるところは彼女のところしかないのだ。
「駄目で元々です。
お母さんに寒い思いをさせるのは忍びないですからね。
出掛けてきますよ」
「伸之、私なら毛布があるから大丈夫よ」
「ええ、俺も寒いんでせめて炬燵くらい買いたいと思うので
頑張ってみますよ」
そう言うと誰の言葉も聞きたくなかった伸之は足早に家を出た。
お金がある時には誰も彼もが寄って来る。
世の常とはいえ、俺たちからたくさんの恩恵を受けていた者たちで
そっぽを向いた。
わかっちゃあいるが、空しさがこみ上げた。
伸之が向かったのは以前住んでいた自宅、百子や子供たちの住まう
家だった。
浮気をした挙句に目先の大金に目がくらみ若くて頭の切れる百合子に走った
自分が良い顔をしてもらえるとは露ほども考えていなかったが、追い打ちを
掛けるようなことを父親が吐いていたとは。
こりゃあ、駄目元どころか、ゴミを見るような目で見られるかもしれないと
伸之は観念した。
それでも頼れるのはもう百子しかいないのだ。




