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8月11日の更新ができていなかったようで
すみません。今頃気がつきました。(^^;
皆様、お暑い中、読みにきてくださりありがとうございます。
次の作品、汗をかきかき頑張っております。(時々、気もそぞろ(´;ω;`))
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映画を観ていて百子は不思議な感覚に陥った。
観ているうちに、自分の辿った人生じゃなくて……その上自分の書いた小説でも
なく……誰かが書いた小説が映画化されているような気分になっていった。
後半の最後の方で夫から離婚された主人公は一旦捨てられた可哀そうな
立ち位置になるが、その後素敵な男性と再婚して幸せになり、めでたし
めでたしで終わった。
百子が書いた小説では、働きに出た先で仕事を指導してくれる独身の先輩と
少し距離が縮まり、昼時には仕事の延長線上で食事に行ったりするような仲に
なる……というようなところまでで終わらせていた。
後は読者にお任せして好きなように続きをお好みで作ってもらえればと
思ったからである。
試写会の間、夫の会社が斜陽の一途をたどるシーンと、主人公である自分が
新しい恋人と幸せになるシーンでは、お尻がこそばゆくなり、困った。
隣で観ている山下さんはどんな風に思っているのかと思うと尚更だった。
私以外に真実を知るたった一人の人だ。
実際の私は傍から見れば未練たらしく離婚を先延ばしにし、他の女性に
心奪われた夫にしがみ付いてるみっともない女に映ることだろう。
自分が描いたのではないにしろ、新しくできた恋人と幸せになる
結末なんて……むちゃくちゃ恥ずかし過ぎるー。
実際の私とはかけ離れているStoryにちょっとだけ漫画家の先生を
恨みたくなる。
筋違いも甚だしいが。
でもこれって王道のStory展開ってヤツだから仕方ないのだ。
幸せに逃げられた主人公が不幸せなままの話なんて誰も観たくないだろう。
リアルではごまんとある不幸話も小説や漫画、映画になるとそこは
お定まりの展開になる。
可哀そうな主役キャラは幸せにならないといけないのだ。
……でないと読者や視聴者はフラストレーションが
たまる一方だからだ。
ステキな女優さんに惹かれてスクリーンの中の彼女を熱心に追い続けて
いるうちに気が付くと映画は終わっていた……っていう感じ。
さっき席に着いたかと思ったら、という言葉がまさに言い得て妙だ。
集中していたせいか、ほんとにあっという間だった。
観た後で思ったのは、数年先まで待って書いてもよかったのかな、
という点であった。
それは数年後のリアルな自分の姿を見届け、それを書けたと思ったから。
例えば今隣にいる編集者の山下さんとか。
小説を書いた時には出会ってなかったものね。
アレ? でもそしたら、山下さんに作品を見つけてもらえなかった可能性も
出て来るから、やっぱり書いたのはあの時期でよかったということなのか。
ああだこうだと考えているうちに百子は脳がショートしそうになった。




