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「おじゃましまぁ~す。

 風呂がまだだから1時間くらいしたら撤収するのでぇ~」


「うん、どうぞ。

 久しぶりだね、話するの。


 同期の人同士で飲み会とか今もあるのかな? 

 私なんか、すっかりお呼びがかからなくなっちゃって」



 私と彼は座卓を挟んで座った。今回のお宿は旅館だ。



「いや、もうやってない。

 しばらく呼ばれたりしてたけど。


 男どもは女子たちを誘ってたみたいだけど、彼女たちの興味が

友人知人を通しての異業種に向いちゃったみたいで今じゃ見向きも

されてないよ。


 どう? 仕事っていうか課の雰囲気は。

 上司の石田さんなんかどう?

 女子社員にモテまくりの割に誰とも付き合ってないみたいだけど」



「仕事のことが聞きたいの? 

 それともモテてることが気になるの? あははっ」



「なんか、秋野の課ってモテる上司がいるのに女子同士の確執もなく、

ほのぼのした職場だよなぁ~。

 秋野の課に配属されたかったわ」




「日比野くんの課はややこしいの?」


「まっねー、いろいろあるんすわ。

 そそっ、これ、ポッキーチョコ持ってきた、ンと、コーヒーも」



「ありがとー、気が利きますねぇ~。

 いただきまぁ~す。

 ポッキー久しぶりだけど、やっぱ美味しいね」



「本当はどこか洒落たバーでも行きたいところだけど、外出すると疲れるし、

出先だからさ。ペイペイだしな」


「ふふっ、そうだね。

 お風呂も入んなきゃいけないし、明日はまた新幹線で帰らなきゃだし」


『ブー、ブー、ブッブッブッ』


 日比野くんとお互いの近況なんかを話している途中で石田さんから

電話が掛かってきて、びっくりした。



「日比野くん、私、石田さんに仕事のこと? で呼ばれみたいたから……」

たぶんという意味合いを込めて小首をかしげながら百子は伝えた。


「あぁ分かった。

 あんまり話せなかったけど久しぶりに近況聞けてよかったよ。

 じゃぁ、またな」



「うん、またね。おやつ、ごちそうさま」



 私はドアを開けて出て行く日比野くんに手を振った。


 同期のよしみで日比野くんがわざわざ話をしにきてくれて私は嬉しかった。




 空気のようじゃなくてちゃんと彼の中に私という存在が

認識されていることが嬉しかったのだ。


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