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『愛のため、さよならと言おう』  作者: 設楽理沙


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 そうして一年半後、コミカライズが最終巻にむかう折にようやく久しぶりに

百子の家で打ち合わせをすることになる。


 梅雨も間もなく明けそうな夏に向かっていた時のこと。




 出迎えてくれたその人(石田百子)は、涼やかで清楚な佇まいを思わせる洋服を

纏って現れた。




 笑顔の素敵な彼女は、とても高校生の娘がいるようには思えないほど

若やいで見えた。



 そして彼女の朗らかにケラケラとよく笑い話す声は、とても心地よく響いた。



 百子のリラックスしている様子を見るにつけ、自分のことなど何も

意識してないのがよく分かる。



 山下はモテ要素充分な風貌をしているが、実は女性が学生の頃から苦手で

奥手な男だった。



 だから38才の今も独身なのである……とそうはいうものの、やんごとなき事情で

離婚、一度結婚はしているというバツイチ独身であった。



 そんな自分でも百子相手には割と緊張せずリラックスして対応できる。


 交際などしていないからこその、ではあると思われるが、緊張せずに

向き合える異性は山下にとって貴重な存在だ。



 今回の訪問では期待通り手作りのチョコレートムースとやらが出て来た。



 なので、今回はチョコムースとアイスコーヒーをよばれる運びとなった。




「今回も手作りのものをいただけて、ありがとうございます」


「簡単なものですけど、喜んでいただけてうれしいです」


「これは何が入ってるのですか?」


「チョコレートと生クリームなんですよ」


「へぇ~、チョコレートはなんとなく入ってるだろうなぁとは思いましたが

生クリームは分かりませんでしたね」



「ケーキ作りしている人にはすぐ分かると思いますけど、作らない人には

分からないかも、ですね」


 そう話す石田さんの洋服にチョコレート色の汚れを発見。


          


          ◇ ◇ ◇ ◇

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