表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『愛のため、さよならと言おう』  作者: 設楽理沙


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/117

33

33




「伸之さん、私からの申し出が……条件が整えば、判をつきましょう。



 養育費、慰謝料など折り合いがつけば、ということで。


 それと今すぐというわけにはいきません。

 今から4~5年の内に、私の方の都合で離婚届けは出します。


 あなたたちの子供が学校に上がるまでにはちゃんと間に合わせます

ので、ご心配なく。


 あぁ、今のは籍の上での話ですから、あちらと暮らすのはいつからでも

お好きな時になさってください。


 これから子供が生まれるのだから、心配でしょうしね。


 私、弁護士を立てますので以後、弁護士同士で話を進めて

いただきたいと思います」




          ◇ ◇ ◇ ◇




 いつ家を出るかなど、少しも頭の回っていなかった伸之は


『あちらと暮らすのはいつからでもお好きな時になさってください』


と言った妻の顔を改めて見てしまった。



 冷たい眼差しの知らない女の顔に見え、すぐにでもお前など

出ていけと言われたような気がした。



「分かった、出来るだけのことはさせてもらうよ」





 俺が言葉を言い終わるや否や、最後の言葉に被せんばかりの勢いで

百子が言い放った。




「あなたの子供二人を連れた私が、まだ産まれてもいない一人の子を

連れた伊達さんに負けたっていうこと、そのような状況の中での

私の惨敗をずっと……ずっと忘れないでいてくださいね」



 伸之は泣き喚いて非難したり子供たちを盾に同情を誘ってきたり

しない百子に、以外な方面から事の真実を(つまび)らかにされ、

愕然とした。



 さらりと軽やかな口調で自分に申し渡してきた内実のなんという重さか。



 伸之はここにきて、自分は百子を足蹴にしていること、愛する我が子と

その子らを慈しみ今日まで大切に育ててきてくれた妻を汚い足で

踏みにじっているのだということに気付かされた。



 冷や汗がドッと吹き出るのを感じた。

 だが、それこそ今更だ。



 浮気や不倫を許せる人間などほとんどいないだろう。


 損得を横に置いて元の鞘に戻ったとしても、自分たちは元のような

仲睦まじい夫婦には戻れまい。



 これでよかったのだ。


 伸之は自分にそう言い聞かせた。 





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ