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『愛のため、さよならと言おう』  作者: 設楽理沙


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 夫の浮気なんて誰にでも起こり得るものだし、もしそうなったらという

心構えだけ忘れなければいいだけだと思うの。


 それとね、私たちの予言だって完全ではないわ、未来のことなので。


 祈りの力って結構大きいのよ。


 秋野さんの愛と祈りで未来の旦那様が別の女性に気持ちを持っていかれないよう

祈られるといいと思いますよ」



「はい、そうならないよう祈ります」


 私と優子は一礼をして先生のところからお暇した。



「百子、すごいよ。お金取らずに、その上平等に欠けるからって私の分まで

鑑定料返金してくれたじゃない。

 本物中の本物の先生だと思わない?

 ……って百子は複雑だろうけど」



「でも、生きてる間に垣内先生の予言が……私たちふたりの予言が

あたるかどうか検証できるっていうのも面白いかも」


「なんか、ドキドキしない?」


「するねぇ~」

 



          ◇ ◇ ◇ ◇




 垣内さんに霊視してもらったあの日から11年近くになろうとしていた。




 毎日のように自分たち家族の健康と幸せ、そして夫との間の絆が切れない

ようにと祈ってきたけれど、定めには抗えなかったようだ。



 夫からは生活費や私の自由になるお金を充分過ぎるほど

預からせてもらっている。



 その中からたくさんのお金をへそくりではないけれど、

将来の保険の意味での預金をしている。



 今回の結果を鑑みて、早々に夫に提案をして一括支払いで

子供たちの学資保険にも入っておくことを決めた。



 夫の方から何か言ってきた時の為に準備できることは着々と

進めておかなくちゃならない。



 もしかしたら、ということを知らされていたけれど、それでも

信じていた人からの裏切りは、胸にズシンとくるものがある。



 安心して頼り切っている状態で現状を知ったとしたら、精神的に

とんでもないことになっていただろう。



 伴侶の裏切りの破壊力というやつは、メガトン級だからだ。

 ほどなくして興信所の結果も出た。




 やはり疑いようもなくクロだった。



 百子はこの空しい状況がいつまで続くのか分からない中で、

決めたことがある。



 何かひとつのことに打ち込むということ、

子供たちとの時間を大切にするということ。



 必要以上に夫や相手の女性へ執着せず、また伸之に対しては

淡々と接することができるように自分の心持ちを律すること。



 自分が己に課したことを忠実に守れば、いつの日か陽は我が身を

照らしてくれるだろうと、それを信じて。



 ……というより、信じるしかないのだ。




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