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2024年10月12日記


皆さま、ご訪問いただきありがとうございます。


最後までお読みいただき嬉しく思います。

こちらは本編に入れるため書いていたものなのですが

ある日下書きノートが行方不明になり、あきらめていた

文章になります。


どこで見つかったかと言いますと、捨てるはずのひとくくりにした

新聞紙の束と束の間に混ざっておりました。(^-^;

そんなことって、ある? レベル


でもそのお陰で書いていなかったかもしれない文章も

ありますし、最後の最後見つかりましたし、ま、大団円

ということで……よかったかなと思っています。


―――――――――――――――――――――――


百子78才 司70才

某日、百子自宅の庭で倒れる


◇百子最後の(とき)


目覚めると、右手を夫の司が、左手は娘と息子が握りしめてくれている。


上を見ると木目の天井が視界に入り、周囲に視線を向けると見慣れた光景に

我が家の布団の中にいることが分かり、なんとなくだけどこのまま天に

召されていくのだなということが分かった。



なぜなら、側にホームドクターと看護師の姿があり、ただ静かに私の家族と

共に私の様子を見守っていたからだ。


思い起こせば、私の人生は最高に幸せだったと感慨深いものがある。


-私の人生最大に大切な時節に縁のあった霊能者、垣内正子さんとの出会いが

思い起こされる。


それはただ一度の最初で最後の出会いではあったけれど。


私にとって彼女は私が人生という名の道を歩き進めていく上での航海で

例えるなら、羅針盤のような役割を担っていた。


彼女の予言を聞いた上で覚悟を持って好きな人と結婚した。

その好きだった元夫に裏切られても、彼女からの忠告のお陰で、彼を酷く

詰ったり憎んだりすることなく冷静に離れることができた。



結婚前の彼女からの予言がなく何も知らずの元夫との結婚生活だったなら、

ある日安心安全なはずの船から一方的に小さなボートに押し込まれて大海に

放り出されたようなものになっただろう。



きっと突然の心細さに平常心を失くし泣き叫び相手を詰り呪詛していたかも

しれない。


しかしながら、当初は所詮占い系の予言なのだからと自分に言い聞かせ、

20%くらいの部分でもしかしてと思うものの、外れる可能性の方が高いのではと

考えていた。


残念なことに垣内さんの予言が当たってしまったけれど、自分としては

前もって危惧していた部分であり、そのことで落ち着いて人生の節目を

上手く対処できたと思う。



将来他所の女性と浮気しますよと言われて尚、好き過ぎて伸之との結婚を

決めたあの日あの時。



贅沢をせず子育てを丁寧に楽しみながら貯蓄に励んだ日々。


元夫は仕事ばかりで家庭での楽しい語らいの時間もほとんどない生活

だったけれど大好きな()の側で寄り添えるだけで私は幸せだった。


今思うと、何故あんなにも好きだったのか……。



今の夫、司との生活を鑑みてみると……。


彼はざっくばらんでいつも私に寄り添ってくれ、楽しい語らいの時間を

大切にしてくれる。



そして私や娘たちを愛で続けてくれるのを肌で感じ、

愛に包まれた生活に慣れた今では、伸之との夫婦生活を振り返ると

不思議な気持ちになる。




最初はたぶん与えるばかりの愛で(も)私は幸せだった。

次に私は与え、与えられる愛に出会い、私は別の幸せを知る。


それはとても幸運なことだった。


霊能者の垣内さんの教えてくれた内容はよく当たっていて、娘も息子も

思いやり深く、先の結婚で不足していた元夫の分までたくさんのやさしい

思い遣りや愛を子供たちから受け取り、私は満たされた。



そして小説を書くようになったことも大きな幸いとなった。

このことがなければ司さんと出会うこともなかっただろうから。



そして某BL作家が呟いていたキャラが予定外に動き出すという意味も

知ることはできなかっただろうから。


ただの自己満足かもしれないけれど、このことも私にとっては

大きな喜びとなった。


自宅の住み慣れた部屋で愛する家族に見守られながら天に召されるなんて、

神様、仏様、素晴らしい人生を私に授けてくださりありがとうございます。



来世でも今の家族と巡り合えますように。

その時はきっと私がきっとあなたたちの支えになれますよう。


「みんな、ありがとう。また会おうね」



ゆっくりと安らかな表情でそう家族に向けてひと言呟き、百子は

一筋の涙を零し、瞼を閉じた。




      ――――――――おしまい―――――――――



追記: [2024.9.3 合掌] 日誌より抜粋


          ◇ ◇ ◇ ◇


2024.9.3 合掌


英田サキ先生、ご冥福をお祈り申し上げます。


ご家族からのご報告でした。8/27にお亡くなりになられたようです。

https://x.com/aidax_info/status/1830440522131108057/photo/1


突然の訃報に驚いています。


腐女子だった頃、英田サキさんの作品はかなり読んでいて

英語版(エスシリーズだったかな)も持っています。


なんか、たまたまと言うにはあまりに奇遇というか……

『愛のため、さよならと言おう』の作中に出てくる台詞


―――――――――――――――――――――――ここから


百子は実は独身時代から子供たちが幼少期の頃まで腐女子でBL本を

愛読していた時期がある。


 当時売れっ子BL作家があとがきで書いていた話がずっと心に残っていた。


『今回は主役キャラの言動が書いてるうちにどんどん勝手に動き(歩き)出し、

予想よりも遥かに良い作品になりました』


という内容のことが書かれていた。



 小説ってどういうことを書くか、っていうことは最初に決めて書くと

思うのだけど、書きながらキャラが勝手に動き出すってどういうこと? 

そんなことが起きるなんて……すごい世界があるのだと知り、そんな世界感を

自分も体験できるものならぜひとも体験してみたい、というような

望みがあった為、自分の精神の安定を保つために何かを始めようと思った時、

真っ先に小説を書こうと思ったのだ。


―――――――――――――――――――――――ここまで


この『』の中のBL作家って、まさに英田サキさんのことなんです。


こういうこともあってよけいに「えーっ」っていう感じです。

詳細は分かりませんが、素敵な作家さまでしたね。


追記:Xに療養中と記されているのでご病気だったのかもしれません。


「安らかな眠りにつかれますよう、お祈り致します」





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