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『愛のため、さよならと言おう』  作者: 設楽理沙


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「まず、私からの反対理由は、お前に秘密にしたまま付き合い、結婚の話が

出ても尚、秘密を打ち明けていないところ。


 それと彼女の兄に前科があったよ。

 婦女暴行だそうだ。


 最悪だ。

 実刑判決が下りてるから余程のことだろうな。


 これを聞いても自分の気持ちを貫くというのなら、それも一つの生き方だ、

 口出しはしない。

 ただし、遺産も会社も叔父へ、そして従兄へと譲ることにする」




 遺産の下り辺りからは、その場にいた伸之には何も耳に入らなかった。


 何か悪い夢でも見ているような気分だった。


 全てを捨てて、彼女のことを全て丸ごと呑みこむには、伸之は若過ぎたし

 思慮深過ぎた。


 そして結局伸之は美貴を捨てる形で別れることとなる。



          ◇ ◇ ◇ ◇



  その後ほどなくして、山内美貴は会社を辞め伸之の前から

ひっそりと消えた。



 その為、伸之は恋愛、特に社内恋愛には慎重だった。


 醜聞を曝せば跡取りから外される可能性が大で、遊びたい盛りの独身貴族

なのに石田伸之の毎日はストイックで好むと好まざるとに係わらず、

品行方正に仕事に邁進するのみであった。


-

 痛い社内恋愛をした経験から、いずれいつか誰かと結婚するとしても

社内恋愛だけはないだろうと思っていた。


 だがふとした偶然から社内に気になる存在ができた。


 灯台下暗しと言うのがまさに言い得て妙で、今回身に起きていることを

如実に物語っている。

-


 自分の下に配属された5才年下の秋野百子は物静かで仕事にも真面目に

取り組む女性だった。


 他の部署の新入社員のように自分(石田)の気を引こうと媚びて来ない

ところも一緒にいて楽だった。


 そして伸之から見た秋野百子の印象は大人しく地味というようなもの

だったのだが。


 それがたまたま仕事終わりに一緒の電車になったことで個人的に話す機会ができ、

彼女の方に友だちがいたせいか、素の彼女を知ることができた。


 遠目から見て地味だと感じていた薄化粧の彼女の肌は溌溂としていて

美しかった。



 表情も愛らしく、話す仕草も可愛くて、自分は彼女のことを何も知らずに

いたのだとその日実感した。



 美貴との辛い別れを経験し、自分はそれからは薄暗い穴の中にいて

周りの物事をちゃんと捉えることができてなかったのかもしれない。


 仕事中に時折秋野のことが気になり、露骨には見ないもののそちら方向に

視線を向けるも、彼女が俺のことを見ていたことは一度もなく、黒田さんと

ばかり時々視線が合う……のは何故? 


 他にも視線を感じるのは一つ向こうの島からのビームばかりで、

本当に秋野が俺のことなんか眼中にないようなのが悔しい。



 次は残業などがあった時に他のメンバーと一緒に彼女のことも誘い、

徐々に距離を詰めていければ、ぐらいに考えていたのだが。



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