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22話

よろしくお願いします、

 私の好きだったあの節さんはどこへ行ってしまったのだろうか?今の節さんは欲望のままに獲物を喰らう獣のようである。現に節さんは私をベッドの上へ持ってくると服を脱がしてしっちゃかめっちゃか好き勝手にやっていた。


「りえちゃん、僕のりえちゃん。大丈夫だからね。たくさんたくさん可愛がってあげる。」


節さんはいつぞや買ったドギツイ縦長の箱を開けた。


「僕の比較的大きいから探すの大変だった。りえちゃんに見られた時には少し恥ずかしかったな。」


節さんはまるで夢見る少女よろしくの初々しさを私に見せて事に進んだ。


 翌朝、私は節さんの腕の中で腰の痛みに苦しんでいた。節さんはというとどんな夢を見ているのか気持ちよさそうに眠っていた。私は痛みを堪えてバスルームに行くと何か大切な物を失った気分になりながらシャワーを浴びる。


「こんな形で処女卒業とは夢にも思わなかったな。」


別に自分の貞操を惜しむ気持ちがない訳でないが、この歳になって泣く気にもなれない。そんな事よりも今の私はどこにも居場所がなかった。家にも叔父の家にも行く場所がない。そうすると、どこに高跳びするべきかそこに頭がいっていた。


「僕も入る。」


いつの間にやら起きた節さんは私を後ろから抱きして言った。


「今日、すごいい夢を見た。僕の設計した家にりえちゃんと可愛い子供達と一緒に暮らしてた。こんないい正夢が見れるなんて縁起がいいよね。」


「処女もあげたので、これ以上は勘弁して下さい。」


「は?何言ってるの?」


鏡に映る節さんの眼光が鋭くなり私を睨む。


「りえちゃんはもう僕のものなの。それ分かってる?」


「私は節さんのものじゃありません。それに私は節さんの事本当に恋愛対象としてみてないんです。今回の事も私の中にしまっておきますから、離して下さい。」


「どうして、りえちゃんそんなこと言うの?僕、りえちゃんに絶対不自由な暮らしをさせないし浮気もしない。」


「そう言う事じゃなくて。とにかく離してください。」


「やだ。りえちゃんもう一回しよ。僕、こんなになっちゃった。」


節さんは私に股間を押し付けて熱い吐息を吐く。


「僕達ってさ、もう結婚している訳だし子供も作ってもいいと思うんだ。僕の母親もりえちゃん事気に入ってるし、りえちゃんがうちに来てくれたらってよく言っているんだよ。」


私は逃げようにも節さんが離してはくれる筈もなく再びベッドの上に戻ってしまった。


 節さんが一通り満足して名古屋駅から新幹線に乗ると節さんは仕事の為にパソコンを開いて作業を始めてた。残された私はトイレに向かう為に席を立ち、廊下を歩いているとポンと肩を軽く叩かれる。


「久しぶりだね、りっちゃん。」


「安藤先生。」


私は声を裏返して言うと安藤先生は面白そうに笑った。


「すごくいいリアクションしてくれるね。」


「びっくりしましたよ。どうされたんですか。」


「学会で大阪まで出張してたんだ。りっちゃんはどうしたの?」


「少し色々ありまして。」


私は疲労が全身再び周り立ちくらみを覚えて言った。


「りっちゃん、大丈夫?」


「ありがとうございます。」


「顔色も悪いね。また人間関係?」


「そんな所です。」


私は未だ痛みのある腰を摩りながら安藤先生に言った。


「これ良かったら、飲む?鎮痛剤なんだけど。」


「いいんですか。」


「僕頭痛待ちだから必ず携帯しているんだ。腰随分辛そうだね。」


私は安藤先生から薬をもらうとそのまま口の中に放り込んだ。


「ありがとうございます。」


「何かあったら僕のところにおいで。りっちゃんは頑張り屋さんだから無理しちゃうでしょ。いつでも僕の携帯にかけてくれていいんだよ。」


安藤先生は私の頭を撫でると可愛らしいウサギのストラップを私にくれた。


「これ、りっちゃんみたいだなと思って買っちゃったんだ。お守りに持っていて。」


「いいんですか。」


「りっちゃんの為に買ったんだよ。使ってくれると嬉しいな。」


「じゃあお言葉に甘えて。」


私は安藤先生に頭を下げると自分の席に戻り、もらったストラップを早速バッグに付けた。


「どこに行ってたの?」


「トイレに。」


「調子悪いの?」


節さんは私の額に手を当てて心配そうに顔を覗き込む。


「僕、無理させちゃったね。色んなものに込み上げてきて我慢出来なかった。」


「いえ、大丈夫です。」


「本当に?何かあったらすぐに言ってね。僕、りえちゃんに何かあったらとても悲しい。」


節さんはどうも昨夜と今朝の事を反省しているようでしきりに私の顔色を窺っていた。正直、そこまでするんだったらしないでくれと言いたい所だがそう言えないのは節さんが好きな自分がいるからかもしれない。


「りえちゃん。僕を嫌いにならないでね。」


節さんは子供のように震えた姿で私に言った。




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