地震予知はできるのか? どうして現状では難しいのか?
筆者:
本日はご覧いただきありがとうございます。
今現地で頑張っている方々に敬意を表すると共に、
被害に遭われた方に寄り添っていきたいですね。
とりあえず僕たちができることは寄付だと思います。
今、全容すら把握できない状況でボランティアに行ってしまうとむしろ邪魔になってしまいますからね。
“平時“を敢えて乱さないことによって、能登の人達に僕たちを目標にしてもらいたいと思っています。そういった被災者の方の声もよく耳にしますね。
質問者:
こういった地震って予測することはできないんですか?
予測出来たらもっと対応できると思うんですけど……。
筆者:
日本では130年前から地震の研究をしてきました。
公益社団法人日本地震学会では、
「地震を含めた地殻活動のモニタリングと予測シミュレーション」
などを行ってきましたが、地震予測を当てることはできていません。
質問者:
どうしてデータを集めて予測してもダメなんでしょうか……。
筆者:
なぜ当たらないのかと申しますと、地球の歴史という分母に対して分子が「人類有史以来」と圧倒的に少ないからなんですね。
現在の地質調査では、何万年、何億年も昔の地震について正確なデータを集めることが難しく、あまり参考にならないというのもあります。
質問者:
確かに入力しているデータが間違っていたり少なかったりしたら、予測も失敗しますものね……。
筆者:
今回の地震も政府が指定している2000の「主要活断層」では無かった可能性が濃厚になっています。
気象庁地震津波監視課は能登半島地震について、これまで確認されていた活断層との関係性は「不明」とし、「今回の地震は、過去の事例より範囲が広い」と見解を述べています。
立命館大環太平洋文明研究センター特任教授の高橋学氏(災害リスクマネジメント)によりますと、
「震源の活断層が未知だったと聞いても驚きはありませんでした。
政府は活断層の数を2000以上と公表していますが、それらは地表から容易に見つけられる調査で誰が見ても活断層と言えるものです。
実際には、無名の断層も含めれば、少なく見積もっても3万以上の活断層が日本列島に存在すると推測しています」
と述べています。
このように現状の科学では活動する断層の予想も中々できず地震予知は難しいのです。
質問者:
過去の地震の断層についてはどうだったんですか
筆者:
新潟県中越地震や岩手・宮城内陸地震など内陸直下の地震が次々と発生し被害をもたらしました。
しかし、これらの地震は国が対策に力を入れてきた主要活断層以外によるものばかりでした。
主要活断層で起きた大地震は2016年の熊本地震ぐらいだと言われています。
質問者:
これでは予測は難しそうですね……。
SNSなどでは「地震の前兆」として「魚が砂浜に大量に打ち上げられる」と言った現象が起きると言われているんですけどそれについてはどう思われますか?
筆者:
「魚が砂浜に大量に打ち上げられること」のみをもって地震予測としたり、明確な因果関係を認めたりできるわけではありません。
というのも、魚は集団で捕食者に追われて波打ち際に追い詰められたり、海水の温度の変化によっていつもとは違った行動を起こしたりすることが多々あるようなのです。
質問者:
それでは、陸生の動物が異常行動を起こすことなども、地震とは関係が無いんですか?
筆者:
ただ、野生動物においては人間よりも生命保存の本能が非常に強いと思われます。
電気通信大学の早川教授のチームは、地震の1週間~数週間前に搾乳牛の乳量が低下することを明らかにし、「東日本大震災」の約1週間前にも乳量の減少を確認しています。
研究チームは、乳量の減少は「電離層の乱れ」によって起こった、としています。
他の動物でも似たようなことが起きているのではないかと僕は考えています。
質問者:
なるほど、動物の行動にも可能性はあるのですね。
筆者:
ただ、乳牛は単純にストレスや食べ物の変化などでも乳量が減少するために、全ての乳量減少が地震の前兆とは言えません。
異常行動を起こしている要因が人間側としては理由が分かりにくいために、それらの異常現象が起きても“警戒する”ぐらいにしたほうが良いと思います。
今のところは、一部に相関関係があっても全ての異常行動と地震とに因果関係があるわけではないということです。
質問者:
「地震雲」というのも地震予測に役立つかも? という話がネット上にあったのですが、これについてはどうなんですか?
筆者:
この「地震雲」と言われているものについても電磁波による影響でできると言われています。
つまり「電離層の乱れによる動物の異常行動」に近い現象だとみることができます。
ただ、「地震雲」の見分け方も難しいですし、電磁波の動きにつきましても通信会社とかの電波通路の変更などによって影響を受けてしまうために、必ずしも因果関係があるとは言えないと思います。
質問者:
どれも地震予測に100%役立つわけでは無いのですね……。
しかし、緊急地震速報などは地震のちょっと前に分かりますよね。
たまに外れているみたいですけど中々の精度だと思うのですが、どうやって判断しているのですか?
筆者:
緊急地震速報はP波とS波の性質を使っています。
地震が発生すると、震源からは揺れが波となって地面を伝わっていきます(地震波という)。
地震波にはP波(Primary「最初の」の頭文字)とS波(Secondary「二番目の」の頭文字)があり、P波の方がS波より速く伝わる性質があります。
一方、強い揺れによる被害をもたらすのは主に後から伝わってくるS波です。
つまり、P波のうちに緊急地震速報を出してS波の本震を予測しているために精度が高いということです。
質問者:
なるほど、緊急地震速報はそういうシステムだから精度が高いんですね。
筆者:
P波、S波と地震の因果関係と同じぐらいのものが、もっと前の期間の段階で見つかれば地震予知・予測の精度はグッと上がってくるでしょう。
ただ、100年以上の研究で因果関係が見つかっていないことに鑑みると、
一つの因子ではなく既に述べたような複数の因子が重なった時なのではないかな? と思っています。
様々な因子を正確に入れることによって、もしかしたら将来、AIなどが地震を予測できる可能性が出てくるのではないか、と僕は思っています。
質問者:
なるほど、近未来の話になるということなんですね。
変わって「人工地震」という話もあるのですが、それについてはどう考えられますか?
筆者:
それについては何とも言えないというのが正直なところです。
しかし、1978年には「環境改変技術の軍事的使用その他の敵対的使用の禁止に関する条約」が発効されています。
もし検証する制度が何も整っていないとすれば、今回が人工地震でなかったとしても「いずれやられる可能性」があります。
「やりたい放題」の状況になるのは阻止しなければなりません。
質問者:
そもそも「人工地震」というワードそのものがあまり馴染みがない気がしますものね……。
とにかく地震は突然やってくるということで変わりはないわけですが、
いざ、地震が起きた際にはどうしたらいいんでしょうか?
筆者:
“心構え“が大事になると思います。
僕の1月3日のエッセイでも書きましたが、部屋の中ならベッド横の三角コーナーに移動するなど瞬時の判断です。
また海沿いで歩いていたり、遊んでいたりした場合には、揺れが収まったら津波警報などとは関係なく、すぐに海岸から離れることが大事です。
能登半島地震でも24年1月1日午後4時10分頃に発生した地震の後、
輪島市では最短地震1分後に1メートル20以上、七尾市では50センチ、富山市では80センチの津波が観測されたようです。
質問者:
特に大地震の際には海岸から逃げることが大事ですね……。
筆者:
また、災害用伝言ダイヤルとして「171」を覚えておくと良いでしょう。
連絡を取りたい電話番号を入力、伝言を録音したり再生したりすることができます。
質問者:
家族や友達と連絡を取ることは大事ですからね……。
筆者:
前半の方でもお伝えしましたが、日本全国には3万以上の活断層があると思われます。
日本にいる限り“地震被災は明日は我が身”だと心掛ける必要があるでしょう。
と言うことでここまでご覧いただきありがとうございました。
普段は政治経済やマスコミの問題の独自考察を行っていますので、よろしければこれからもよろしくお願いします。