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確かに推しがいる女子はこのくらいの圧で話してるのを見た事がある。でも高校生がしかも文学にここまでの情熱を持っているのはみたことがない。
「あの、さ。」
「ん?なに?」
またもや彼女の細い肩に触れて少し離してから聞いてみた。
「立澤さんは何でそんなに文学が好きになったの?何かきっかけがあったの?」
「え?!」
僕がそう質問をすると彼女は彼女らしからぬ、わずかな動揺を見せた。
「そ、そんな事先輩に関係ないじゃない!あ、いや、関係あるか・・・」
「あ、ごめんへんな事聞いて、また今度話せる時でいいよ。」
そんなにへんな事を聞いたとは思わないが僕は何か悪い事を聞いてしまったような気がしてこう言ってしまった。すると彼女は幾分冷静さを取り戻したのか少しだけ乱れた髪を直して、いつものスンとした表情に戻った。そして突然立ち上がってこちらを見ることもなく、行き先も言わず図書室を出て行ってしまった。