表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東京異界アガルタ  作者: 緑川さをり
1/2

東京異界

黄昏時。昼の光が支配をやめ、夜の帳が降りる頃、二人の男女は向かい合っていた。

200キロメートル。

その距離を超えてなお、二人は互いの存在を認識しあっていた。

吸血鬼。

月並みな言葉で言ってしまえばその二人を形容するのにこれ以上ピッタリな言葉は無いだろう。

かくいう僕もその一人だった。

傍らの女性に跪き、視線を向ける。

「我らが女王陛下、相手はすでに1億を超えているでしょう」

我らがブラッドムーンの女王陛下、気高く優しく、そして時に無慈悲な彼女は笑う。

妙齢な容姿と相まって、太陽を溶かしたようだった。

「さすがは『独り百鬼夜行』その力は伊達じゃないわね。この戦いは命がけになる」

けれども、と彼女は区切る。

「私を誰だと思っているの?私だけが最強。私だけが一人、あなたたち最強最悪の『ブラッドムーン』を統べるリリアナ・ブラッドムーンよ」

「女王陛下……」

「なに?」

「自分のチームに自分の苗字をつけて恥ずかしくなかったんですか?」

「う、うっさいわよ!誰でもそういう時期とかあるでしょう!あんただって例外じゃないはずよ!自作のポエムとか設定資料集とか、思春期には珍しくない現象でしょうが!!」

ああ、我らが女王陛下は思春期だったのか。見た目からして二十代いっているはずなのに…………

半分遠い目をしながら視線を対岸の相手に戻す。にこやかな顔で手を振ってきた。

イラっとくる。

これから殺し合い(・・・・・)をするとも思えない顔だ。


空を見上げる。完全に夜だった。ここは時間の流れも普通とは違う。

人はみなここを、畏敬をこめてこう呼ぶ。

「東京異界アガルタ……か」

僕の呟きは我らが女王陛下には届かず虚空へと流れていく。

女王陛下が背後の精鋭に対し手を上げる。

それだけで十分だった。殺気殺気殺気。その濃密さに思わずクラッとくる。

「始めましょう。私たちの戦いを」

手を振り下ろす。

いくつもの風が吹き荒れた。ここは東京異界アガルタ。吸血鬼の住む町。勝てば相手の全てを手に入れ負ければ全てを失う修羅の都。

そして我らが女王陛下はその日、見事に敗北なされた。


楽しんでくれたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ