その勇者、秘密を話す
から!?』
「【パンドラの鎧】の収納空間からだ」
『…ていうか何でいるんだよ?』
「ダンジョン生成時に巻き込まれたのだ!」
『あっ…すんませんでした』
「…アリアルド…貴様まさか」
『このダンジョン、俺と仲間たちで作ったダンジョンです』
「よしお前は今すぐ魂ごと塵にしてやる」
『待ってくれドラゴカイザー、それはマジで洒落にならん』
「…ドラゴカイザーってお前の名前か?」
「初代龍帝としての名だ…実は言うとだな、我はこの名が嫌いだったのだ…」
「…なんとなく理由は分かった」
『…というか、そこの俺を倒した奴といるってことはテイムされたのか?』
「うむ、あの【神斬りの魔蟲】をテイムしているからな。まぁ、外に出ると言う目的も踏まえてテイムされたのだ」
『…マジ?あの【神斬りの魔蟲】を?』
「…なんか物騒な名前出てだけど、それってまさか…」
「スカーレットのことだ…神鋼を切り裂いた魔蟲と同種…いや、それ以上だろうな」
「神鋼を切り裂くって…ゴルディオス達が戦ったそいつより上って…」
『ゴルディオスってのが今の名前か?』
「あぁ…さてと、一つ聞きたいことがあるぞアリアルド…何故お主がいる」
『…それはこのダンジョンの制作秘話も話さないとな…簡単に言えば、このダンジョンは俺が死んだ後に出てくる勇者のために作ったダンジョンだ。あの時代の魔王を全員倒した俺達は、後の世にあの時代の魔王と同等…それ以上の魔王が出るかも知れないと思ったんだ』
「…確かに、今の時代でも魔王はいる…4人も」
「マオウ、ツヨイ?」
「あぁ、幾つもの国が滅ぼされたからな…勇者なんて一国に1人か2人はいるくらい多いぞ…アリアルドを見てると、ある一定の強さの奴らをそう言ってるだけかも知れないが…」
『勇者の選定基準が変わってるのか…てか、やっぱり出てたか。まぁ、要は勇者育成用ダンジョンとして俺たちが作り上げたのがこのダンジョンだ。勇者としての役目を終えた俺はこのダンジョンのラスボスとしていたんだよ…まぁ、それは仲間たちと一生会えないことだったがな』
「…役目を終えたから、現れる次の勇者に託そうとしたってことか?」
『あぁ、まぁ…誰も来なかったけどな!おかげで肉体は消えてリビングアーマーになっちまったけど!肉体があればもっと早く攻撃できるんだがなぁ…』
(…あれより早いのかよ…)
「…成る程な…だが何故我を巻き込んだアリアルド!」
『いや、この地域って魔力が豊潤だから強いダンジョンが作りやすかったんだよ!お前がいるとは思わなかったんだって!』
アリアルドとゴルディオスはそんな会話をしていると、アリアルドの魂から光が溢れ出す。
『時間か…そうだ、お前の名前は?』
「…アルマ」
『アルマか…お前はこのダンジョンをクリアした。奥の扉にお前の力になるものが置いてあるから存分に使ってくれ。あと、これは俺自身の頼みなんだが…もしアイリスに会ったらこれを伝えて欲しい『…楽しかったぞ』ってな』
「…あぁ」
「アイリス…成る程、エンシェントエルフの娘か…確かにあの娘なら生きているだろうな」
『あぁ、身勝手だが頼んだ…じゃあな!』
アリアルドは笑顔のままそう言うと、光となって消えていった。
「…さらばだアリアルド…我が友よ」
ゴルディオスは涙を流しながら微笑み、そう呟いた。
「…行こう、扉の奥に」
「ウン、イコウ!」
「うむ」
収納空間に入ったゴルディオス達はそう言うと、アルマは扉を開け奥に入る。すると、そこにはある剣が飾らせていた。アルマはその剣を握ると、剣は光となってアルマの身体に入っていった。
「…チェックオーブで確認だ」
そう言ってアルマはチェックオーブで確認する。
ー
【光滅の剣】…アリアルド達が作った剣。光を剣にして相手を倒す光属性の剣。【撃鎧】を纏っていなくても使える。
ー
「…アリアルドが残した力か…」
「…とりあえず、今は出るか」
アルマはそう言うと現れた魔法陣に乗る。すると、ダンジョンの入り口に飛ばされた。それと同時にダンジョンの入り口はまるでそこに何もなかったかのように消えていった。
「…ありがとうございました」
アルマはお辞儀をすると、ゴルディオス達と話し合う。
「…これからどうするのだ?」
「…チェックオーブを確認したんだが、これ機能してないから…ギルドだと死亡扱いだな」
「む?何故わかるんだ?」
「チェックオーブってのは冒険者ギルドから渡されるものなんだが、そのチェックオーブを持つ冒険者が行方不明になると、行方不明になってから9ヶ月経つとギルドが何らかの理由で死亡したとして、チェックオーブは機能を停止するんだ…つまり、俺は9ヶ月以上ダンジョンにいたことになる」
「…コレカラ、ドウスルノ?」
「…近くに町はあるけど…そうだな…故郷に帰るか」
「アルマの故郷か、我は気になるな」
「あぁ、アリアルドから貰った力を確認したいからな…それも合わせてゆっくり帰るとするよ」
「…そう言えばアルマ、何故あのダンジョンに居たんだ?」
「ワタシモ、キニナル、ソレ」
「あぁ、それは…」
アルマは自身に起きたことを話しながら、アルマの故郷【プロテ村】に向かって歩き始めた。
その後、S級ダンジョン【ガランディール迷宮】がアルマによって攻略されたことは、世界中を震撼させることとなった