ダンジョン、最後の強敵
「…何だろうな、あからさまに何かいますよって雰囲気」
「ツヨイノ、イル」
「…ふむ、どうやらこの扉の中ではアルマの力で攻略せねばならない制約が課せられるようだな」
「…何とかできるか?」
「出来る、だがアルマはそれをしてほしくはないのだろう?」
「あぁ、ここまできたんだ…真正面から攻略してやるさ!」
アルマはニヤッと笑いながらそう言うと覚悟を決めて扉を開け中に入る。その部屋は教会のようなステンドグラスが飾らせており、そして光に照らされた膝をつく騎士がいた。
「あれか…」
「…リビングアーマーの一種だな」
すると、その騎士は光を放ちながら立ち上がる。関節部分からは光が漏れ、辺りを照らす。
「…光属性のリビングアーマーとか聞いたことないぞ!?」
「ワタシモ、シラナイ」
「我もだ…いや待て、この力何処かで…」
騎士は背中に背負った大剣を手に取り構えると、一瞬で近づき振り下ろす。アルマはそれを回避すると、アルマがいた床が陥没した。
「このダンジョンの床とか壁って硬かったような…」
「防御は悪手だな」
【パンドラの鎧】の収納空間から話しているゴルディオスの話を聞きながら回避し続けていると、騎士の剣が光を放ち始めそれと同時に振り下ろされると、光は斬撃となり躱したアルマの【撃鎧】スレスレを通り過ぎた。そして壁に直撃すると、当たった部分が綺麗な断層になっていた。
「光属性の魔法を使えるリビングアーマー…普通ならあり得ないが…ダンジョンだからか?」
「…その技、まさかこのリビングアーマーは…【光滅の勇者】アリアルドか!?」
「【光滅の勇者】って…あの!?」
アルマはその名前を聞いて驚く。【光滅の勇者】アリアルドとは、大昔に現れた勇者の1人であり、4人いた魔王を全て倒した勇者である。
「リビングアーマーになるとは…何か理由があるのか?」
「分からん、だが奴は死霊になるような男ではなかったはずだ」
「…なんか、名前を言った後からやけに攻撃頻度が上がってないかこれ!?」
アルマは無数の光の斬撃をギリギリで躱しながらそう言うと、どうするか模索し始める。すると、アルマは自身の手を見た。
「…ゴルディオス、スカーレット、ちょっとぶっつけ本番の技やるぞ」
「アルマ?」
「アルマよ、何を言って」
アルマは2匹にそう言うと突撃する。そして、魔力を自身の右手に纏わせ、纏わせた魔力を螺旋状に回転させる。それはまさにドリルのように回転すると、魔力の渦が前方に現れ光の斬撃を防いでいく。そして、近づいてきたアルマを斬ろうと振り下ろした剣を躱し、騎士の懐に入ると螺旋状に回転した魔力を乗せた一撃をぶつけた。
「ボルテックス・ブレイカー!!!!!」
その一撃は騎士の鎧を貫き、騎士…いや、リビングアーマーは装備ごとに地に落ちた。
「…はぁ…はぁ…」
「よくやった…」
「ヤッパリ、アルマツヨイ!」
「どういたしまして…さてと、ボスは倒したがこれからどうするか『いやー!まさかやられるとはな!びっくりしたぜ!』…は?」
アルマはすぐさま後ろを向くと、そこには半透明で金髪の40代くらいの男性が宙に浮いていた。