アルマ、力を得る
「…しかし、ボロボロになったな…【鎧装】を常時使うか…すぐにくたばりそうだけど」
「アルマ、ベッカク。ワタシヨリ、マリョク、アル」
「ありがとうスカーレット」
そんな会話をしながらエリクサーが置かれている場所に向かうと、ある鎧を目にする。
「あの鎧は?」
「タンケンシテタラミツケタ。ワタシ、キレナイ。デモ、アルマナラ」
「…スキルの効果か」
そう言って鎧に触れると、鎧は光になりアルマの身体へ入っていった。
「…【パンドラの鎧】…?」
アルマは気になり、チェックオーブで確認する。
ー
パンドラの鎧…全てを収納する鎧。収納規模は無限に等しい。撃鎧でも能力が使える。
ー
「…凄いな」
「ヨロイ、スゴイ」
「…よし、とりあえずはこのダンジョン攻略の続きだ」
「イコウ!」
大量にあるエリクサーを【パンドラの鎧】で収納すると、そのまま外に出てダンジョン攻略を再開した。
ー
それから歩き続け2回ほど階段を降りると、今度は洞窟の中の湖地帯に出た。
「…ダンジョンってこんな変化するって聞いたことないぞ」
「コノダンジョン、トクシュ?」
「あぁ、ダンジョンってのは何階もあるのは確かなんだが…階層で気候や環境が変わるなんて聞いたことが…」
「…ソウナンダ」
「多分この辺りの魔力のせいなのか…?」
そんな会話をしながら進んでいくと湖から金色の龍が現れた。
「見たことねぇ魔物か!」
「…ウルサイヨ、トカゲ」
スカーレットは金色の龍を睨みつけると龍は怖気付いた。
(…龍は魔物の中でもかなり上位に位置する魔物だ…それを睨んだだけで戦意を喪失させるのか…やっぱりスカーレットはかなり強い魔物なんだな…)
「…コノトカゲ、タタカウキハナイ。ケド、アルマトハナシタイッテ」
「あ、あぁ…」
アルマはスカーレットの言葉を聞いて金色の龍と話し合う。
「ま、まさか…あのような強き魔物を従えているとは…」
「まぁ、成り行きで」
「そうか…こんなことを言うのも何だが、我の話を聞いてくれないだろうか」
「話?」
「…率直に言えば…我を外に連れ出してほしいのだ」
「外に?」
「うむ、我はこのダンジョンが生成されるより前に住んでいたのだが…その生成に巻き込まれてしまい…」
「出られなくなったと…」
「あぁ、だがお主は【パンドラの鎧】を使えるようだな」
「【パンドラの鎧】を知ってるのか?」
「あぁ、あの鎧は人と龍の友好の証として龍が持つようになった人の宝物。人は龍の秘宝を持つようになったのだ…まぁ、我を知らないと言うことはその友好の話すらも伝承されなかったのだろうな」
「…確かに…じゃあお前は…」
「我は…そうだな、初代龍帝だ」
「初代龍帝…」
「名前はあったが…お主が名前を付けてくれ。初代龍帝とはいえ、龍帝自体は二代目に継承させた。【パンドラの鎧】は我が隠居しながらも守り抜くと決めたものだからな…新たな名前を付けてほしい」
「でも名前は」
「分かっておる、テイムしてくれ」
「…分かった…名前か…」
アルマは金色の龍を見ながら考えると、ある名前を付けた。
「ゴルディオスってのはどうだ?」
「ゴルディオス、良いだろう」
すると、あの時の魔法陣が現れて双方が血を垂らすとゴルディオスはテイムされた。
「…そういえば、お主の名はなんだ?」
「アルマだ」
「ならばアルマよ、共に行こうぞ!」
「…アルマハ、ワタシノモノ」
「う、うむ…分かっておる…アルマよ、我らを【パンドラの鎧】の力で収納してくれ」
「分かった」
アルマは2匹を収納すると、そのままダンジョン攻略を続けて行った。