064 子どもの残酷さ
いじめ描写があるので苦手な方はブラウザバックを
「分かりました! この出会いが互いにとって良いものでありますように!」
「ええ」
「えっ? もうお話終わり?」
「ミリーでも見に行こうか?」
「そうする!!」
「ミリー?」
「ミリットのことですよ。この学校の生徒で、友だちなんです」
「学校見学ということですか。承知しました」
急に語気から覇気がなくなった。またおれなんかやっちゃいました? んーでも、失言したとは思えないしな。
「ミリットさんの教室は……2-A室ですな」
タブレットで確認するあたり、やはりここは思い描いていた学校とはだいぶ違う。もっとこう魔法っぽい方法で確認してほしいものだ。
まあ魔術も知れば知るほど夢がないし、そういう術式組み立てるのだって手間かかるけどさ。
「だとよ。行こうぜ」
「うん!」
まさかいじめられていることはないだろう。ミリットは姉にメリットっていう結構な強者を抱えていて、それと比較すれば月とスッポンみたいな妹ではあるがいじめられる人間だとも思えない。
*
あれから5分と12秒後。おれたちはミリットの教室に着いた。
しかし移動教室だったようで、2-A室には誰ひとりとしてヒトがいなかった。
「ちょっと待つか」
「うん! ミリットちゃんに会いたいし!」
おれはなんとなくミリットのロッカーを見たくなって、それを探し出す。
……これがミリットのロッカー? ひとつだけ特別仕様じゃねえか。
ロッカーの扉がへこんでいて、『死ね』『落ちこぼれ』『怪物の味方』と落書きが施されてあった。中に入っている教科書などはナイフかなにかでビリビリに破かれていて、到底使い物になるとは思えない。
今度は机のほうを向く。またもや特別仕様の机を発見してしまった。この学校はイギリスみたいな方式を取っているようだから指定の机と椅子なんてないはずなのに、一目でミリットが座っている、あるいは座らされている場所を見つけてしまった。
「なんだよ、こりゃ」
嫌味ったらしくスライムが塗りたくられていた机と椅子。落書きがないのは、きょうだけミリットが座っていたからだろうか。
「ミリットちゃんっていじめられてるの?」
タイーシャが不安そうな表情になる。緊迫した雰囲気の中、おれは机と椅子に塗られていたスライムを吸収してしまう。
「アイツがいじめられるわけねえだろ。タイーシャ、おれちょっとトイレ行ってくるわ」
なお、スライム娘は排泄を必要としない。食べなくても生きていけるし、食べたり飲んだりしたものはすべてスライムとして加算されるからだ。
だからこれはある種の警告の意味合いがある。『着いてくるな』と。
「あたしは待ってれば良いの?」
「そうだな。ああでも、ここで見たものは全部忘れろ」
「なんで?」
「アイツは同情されるのを嫌うからな。オマエに慰められたらどれだけミリーが惨めになるか考えろ」
「う、うん」
「さぁーてと。トイレ行ってくるか」
閲覧いただきありがとうございます!!
もし面白い、続きが気になると思ってくれた方は、このあとがきのすぐ下にある
『ブックマークに追加』
からお気に入り登録や(更新がわかりやすくなります)
『いいねで応援』
『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』
などで評価してくれるとモチベーションにつながります!! よろしくお願いします!!




