039 交渉開始なるか/ちょっとデレるよ
あのあと、クラリスはセーラムに抱えられてどこかへ消えていった。これで一件落着ッ!!……とはならないんだな、これが。
ひとまずおれは小粋へ電話をつなぐ。あの戦闘狂、いったい誰と闘っていたのだろう?
『よっしゃ!! おれの勝ちだな!!』
「小粋、誰と闘ってたんだ?」
『クラリスの付き人だよ。おめェのもとへたどり着かねェように見張っておいたんだ。そっちは勝ったのか?』
「言われなくても」
『さすがだぜ、おれたちの陛下!! これで問題はいなくなったか?』
「いや、まだエコーが無事かどうか分かんねえんだ」
『アイツがやられたのか……。クラリスだろ、どうせ』
「そうだな。んで、これからどうするよ」
結局のところ、おれは指示待ち人間だ。みんなが望む未来を開拓したいとは思っているが、それって裏を返せばみんなの意志を集計しなくてはならないという意味にもつながる。だから投票者のひとりである小粋に意見を訊くのは有りだろう。
『そりゃおめェ、当面は当局との闘いに明け暮れる日々だろ。“人権”はいつだって暴力で勝ち取るモンだぜ?』
「否定はしないけど、おれだって無敵じゃないんだぞ?」
『知ってるさ。無敵なヤツなんて誰もいねェ』
「だからそろそろ交渉すべきだと思う。あのクソ老害とクラリスを撃破したんなら当局もおれを無視できないだろ?」
『どうだかな』
小粋はどうにも納得していないようだった。
『ま、いまの大統領は変わり者だ。提言するのも有りかもしれないな』
「変わり者?」
『毎日大統領府に数十人女連れ込むようなお方だぞ? それなのに支持率は高い。植民地獲得で国民は潤ってるからな』
「……。変な野郎もいたものだ。なあ」
『あ?』
「ソイツは元スターリング工業なんだろ? だったらポールモールにアポとって会談できるようにしてくれよ」
『良いけど……国内の過激保守に気が付かれたら面倒だぞ?』
「無茶は承知だ」
『分かったよ。身柄隠すホテルはすでに決まってるから、ミリットちゃんとかとのんびり過ごしてろ』
陛下のお仕事は行動して責任を取ることだ。ロスト・エンジェルスでもっとも偉い人間との会談の段取りを決めていて、その全責任はおれが取るのだからあの子たちと遊んでいたって良いだろう。
「さぁーて。新しいホテル行くか」
スライムもだいぶ減ってしまい、身長は160センチを切ってしまった。ある意味気が付かれにくいので、おれは堂々と戦闘で戦時中みたいになったホテルから出ていき、新しい住処へ向かうのだった。
*
「エコー、無事だったか」
あまり上質とはいえないベッドに人面鳥のエコーは寝転がっていた。
「ええ、閣下……。うっ!!」
「傷が痛むなら無理するな。無茶が一番いけない」
例の3人と合流した。
今回のホテルはそこまで高級感がない。そもそも予算がどこから出ているのかも分からない以上、文句も言えない。それに4人で生活するには手頃な広さだし。
「……。勝ったの?」
「勝ったよ、ミリー」
「……。そう。良かった」
閲覧いただきありがとうございます!!
もし面白い、続きが気になると思ってくれた方は、このあとがきのすぐ下にある
『ブックマークに追加』
からお気に入り登録や(更新がわかりやすくなります)
『いいねで応援』
『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』
などで評価してくれるとモチベーションにつながります!! よろしくお願いします!!




