表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/106

002 転生したら美少女(ただしスライム娘)だった件

「ならばいまは人間にとって敵であると?」


 やべえ。このヒト絶対おれのこと敵だと思っている。怖いなあ。正直振り向くのも怖いけど、勇気ひとつを友にしておれは振り向く。


「この姿を見ても敵だと思いますか? まだ人間みたいな身体には程遠いのに」


 老人がそこにいた。口調からして察してはいたが。

 男前。白髪はちっとも禿げる気配がない。ヒゲまで生やしている。


「たしかにな。だが、(あだ)なす可能性も否めまい」


「んー。ならなにをすれば信用を勝ち取れますか? 人間に近いフォームになれたのにここで撃破されちゃ辛いだけですよ」


「転生者であればすぐ疑念は払えるのだがなあ」


「転生者。…………。ああ転生者だ、おれ。建築作業をしていて、熱中症になって死んでしまったんですよ」


「証拠はあるのか?」


「証拠?」


「ロスト・エンジェルスは定期的に転生者を受け入れている。それがこの国にとって(さち)あることだからだ。そして転生者はなんらかの新魔術を使うことができる。さあ、魔術を披露してみせろ」


 火曜日、5時01分。無茶振りが始まった。ここを乗り越えなければ、二度目の人生はここで頓挫する。だからおれはしっかり訊いておく。


「質問良いですか?」


「なんだ?」


「いまのおれってスライムなんですか?」


「どこからどう見てもスライムだろう」


「分かりました。なら魔術? をお見せしますよ」


 スライムは最弱のモンスター……そんな常識、実は日本でしか通用しないと聞いたことがある。

 たとえばこの身体。とても柔らかく、仮に銃弾で撃たれたとしてもひるまないだろう。

 さらに手の部分を見てみると、スライム特有の液体が溜まっている。これらはあらゆる武器や防具を腐食させるに違いない。もうそう信じ込むしかない。


「もう使ってない武器とかあります? それを腐らせて使用不能にしますよ」


「いまは持っていないのでね。この木の棒で良いだろう」


 老人は木の棒をおれに渡してくる。

 そしておれは木の棒に触れ、じゅ~わ~……とそれを少しずつ溶かしていく。バターでも溶かしているような感覚だ。


「どうです?」


 行けただろうと確信していたので、ドヤ顔かましてやった。


「うーむ……。まあ、ひとまず合格だな」


「どうも」


「ところで主は自分を『おれ』と呼んでいるが……その見た目だと『私』や『あたし』のほうが正しいんじゃないか?」


「へッ?」


 老人は腕を上げ、おれの全貌が見える鏡を作り出した。魔術の国らしい時短行為である。


「見てみろ、いまの自分を」


 紫一色に染まったスライムが人間の形をかろうじて保っている。

 しかし重要なのはそこではない。

 顔に当たる部分だけ妙に精巧に作られているのだ。

 そう、美少女の顔に。


「嘘ッッッッッッッッッッッッだろ!? なんでおれが美少女になってるんだよォ!?」


「意外と鈍感なようだな。大物気質とも言えるが」


 正直、おれはイケメンではなかった。チーズ牛丼が好物な冴えない青年だった。

 しかし鏡が照らし出す真実はおれという絶世の美少女のスライム娘なのだ。


閲覧いただきありがとうございます!!

もし面白い、続きが気になると思ってくれた方は、このあとがきのすぐ下にある

『ブックマークに追加』

からお気に入り登録や(更新がわかりやすくなります)

『いいねで応援』

『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』

などで評価してくれるとモチベーションにつながります!! よろしくお願いします!!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
先行公開しています~別サイトですがよろしければ!!(ブックマーク・通知オンするにはアカウント登録が必要らしいです)



スライムむすめの転生日記~自称序盤のレベル上げ要員は実質無限再生と吸収能力、打撃も斬撃も効かない身体etcでビビリながら無双する~


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ