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091 / 冒険者パーティ用の大部屋で

 宿を何軒か回り、ようやく取れた一室は、冒険者パーティ用のものだった。

 つまり、大部屋だ。


「うーん……」


 いいのか、これは。


「わ、広いね!」


「ベッドが六つもあります。六人パーティ用でしょうか」


「三人分の料金でよかったのかな。なんだかお得な気分だね!」


「わかりませんよ。相場より少々高めでしたから、六人分とは言わずとも、四人分くらいは徴収されているかもしれません」


「えっ! じゃあ、お得じゃない……」


「ですが、小綺麗でよい部屋です。元は十分取れているかと」


「だよねー」


「あー……、こほん」


 二人の会話に割り込む。


「?」


「リュータ、どうしましたか?」


「……この世界は、男女が同じ部屋に泊まるのって当たり前だったりする?」


「当たり前──ではありませんが、冒険者パーティであれば寝姿を見るのも見られるのも慣れているでしょうから、さして問題はないかと思います」


「いや、まあ、フェリテに関しては、もう見慣れてる部分もあるけど」


「えー! あんまり寝顔見ないでって言ってるのに」


「わざわざ顔は覗き込んでないって。ただ、寝相は知ってる」


「なら、いい……のかな?」


「交互に休息を取る必要がある以上、こればかりは仕方のないことかと思いますよ」


「……俺とフェリテはパーティ組んでるから慣れてるとしても、アーネは違うだろ。抵抗とかないのか?」


 アーネが小首をかしげる。


「抵抗、ですか」


「こう、あるだろ。恥じらいとかそういうのが」


「着替える際には外に出ていてほしいですが」


「……それだけ?」


「他には特に思い当たりません」


「──…………」


 この子たち、やっぱり、自分が年頃の女の子だって自覚が薄すぎる。


「ほら、寝間着姿を男に見られるのが嫌だー、とか」


「寝間着でセッションしてるのに?」


「……寝るとき異性がいると落ち着かないー、とか」


「あたしは、リュータがいたほうがぐっすりだよ!」


「なるほど。リュータには安眠効果が」


「──…………」


 なんか、常識を説いてるのが馬鹿らしくなってきた。

 もういいや。


「よーし、俺のベッドここな!」


「あ、ずるい!」


「窓際は俺のものだ……」


「じゃ、あたし隣ね」


「私はその隣にしましょう。他のベッドは荷物置き場です」


「わざわざベッドに置かんでも」


「使わないと、なんとなくもったいない気がするので……」


 ちょっとわかる。

 アーネは、俺と同じく貧乏性らしい。


「そうだ。ごはんどうしよっか」


「宿屋街の客向けに、屋台が出ているはずですよ。そちらで食べてもいいですし、持ち帰って部屋で食べてもよいかと」


「神都の名物とかあるのかな!」


「すみません。私も、屋台にはさほど詳しくはなくて」


「なら、観光がてら屋台を見て回るか。美味そうなものの一つや二つ、あるだろ」


「うん、行こう! 食べ歩きだー!」


「おう!」


「ええ、行きましょう」

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