表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

80/125

080 / 深夜、二人とセッションを(3/5)

「巨狼は風嵐呪を使用。これは範囲魔法攻撃となる」


「範囲……!」


「二人同時、ですか」


「その通り。魔術判定は──」


 六面ダイスを四個振る。


「成功だな。ダメージを出すけど、どうする?」


 フェリテに視線を向ける。


「……かばっていいの?」


「当然、構わない。だが、自分もターゲットにされている状態で仲間をかばった場合、自分と"アーネ"、二回分のダメージを受けてもらう」


 フェリテが即答する。


「じゃ、かばう!」


「フェリテ、危険です!」


「"フェリテ"は魔法防御力も高めだと思ったから、大丈夫だよ。それに、どうせこのラウンドは攻撃できないんだもん。もともと治癒薬飲むつもりだったから」


「……わかりました。いつも、ありがとうございます」


「持ちつ持たれつ、だよ」


「はい」


 二人の会話が途切れるのを待って、言葉を挟む。


「では、風嵐呪のダメージを出す。さあ、祈れ」


「祈れ!?」


 四つの六面ダイスを転がすと、総計で15の目が出た。


「これに12を足して、ダメージは27だ。これが二回飛んでくる」


「え、待って待って待って! "フェリテ"のHPが55だから──残り1!?」


「いえ、違います。二回分の攻撃それぞれから魔法防御力が減算されるはずです。"フェリテ"の魔法防御力は何点ですか?」


「えっとー」


 フェリテが自分のキャラクターシートを覗き込む。


「魔法防御力は、5!」


「では、攻撃二回分で10点が減算されて、残りHPは11となるはずです。合ってますか、GM」


「正解。では描写へと移る」


 脳内で、"フェリテ"と"アーネ"の死闘を再生する。


「巨狼は君たちから数歩距離を取ると、天井に向かって高らかにいた。その瞬間、ピシッ、ピシッ、と空気が弾ける。風嵐呪だと気付いた時には、もう遅かった。真空が作りだした目に見えぬ刃が、君たちを襲う!」


「──"アーネ"! と叫んで、"アーネ"の前に飛び出すよ」


「真空の刃が、"アーネ"をかばった"フェリテ"の肉を切り裂いていく。鋭い刃物で切りつけられたかのような傷が、鎧から露出した部分に無数に浮かび上がる。血液が飛び散り、後から後から痛みが走る。"フェリテ"は、たった一瞬で満身創痍にまで追い込まれた」


「"フェリテ"! そんな、私をかばって……」


「あたしはいいから! あいつに火炎呪を!」


「はい! と頷いて、前進と共に詠唱、巨狼に火炎呪を放ちます」


「魔術判定をどうぞ」


 アーネがダイスを振る。


「成功。ダメージ出します」


 次にアーネが手にのは、七個の六面ダイスだった。


「ダメージは、7D6+19ですね」


「わあ」


 出目は、28だった。

 つまり、


「──47点ダメージ。いかがです?」


「強くなったなあ……」


 記念すべき最初のダメージダイスは、たったの2D6+13だったのに。


「"アーネ"の放った火球は七本の炎の矢へと形を変えて、巨狼の銀の毛並みに突き刺さる。さしもの巨狼も痛みを感じたのか、苦しげにうめき声を上げるだろう」


「よかった、効いているようです」


「物理も効けばいいなあ……」


「では、"フェリテ"のメインプロセスだ」


「巨狼に全力で近付きながら、高級治癒薬飲みます。回復量は8D6でよかった?」


「合ってるよ」


「じゃ、振るね。──25回復で、HPは36点!」


「次はかばわなくて構いませんからね。今度こそ"フェリテ"が死んでしまいます」


「うん、気を付ける……」

広告下の評価欄より【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると、執筆速度が上がります

どうか、筆者のモチベーション維持にご協力ください

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 神業とか加護とか覚醒とかブレイクとかリザレクトに絆効果とか超英雄ポイントが無いシステムだとボス戦序盤でもスリル満点ですよねー HPゼロになってから本番、みたいなシステムはTRPG黎明期には無…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ