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122 / 装備を整えよう!(3/6)

「ありがとよ、兄ちゃん。あいつら、あのミスリルの長剣を売れ売れってうるさくてよお。まあ、おだてられて見せちまった俺も悪いんだが……」


 おじさんが、決まり悪そうに頬を掻く。


「仕方ないよ、すごい業物だもん。自慢したくもなるよね」


「もうすぐ売っ払っちまうもんだし、そうなると見せる機会もなくなるもんで、ついな」


「でも、気をつけたほうがいいですよ。冒険者が増えてきたってことは、ああいうやつらが幅を利かせるってことだ」


「大丈夫、大丈夫。これでもガラの悪い連中には慣れてるんだぜ」


 アーネが心配そうに告げる。


「慣れているからこそ、危険。そういう場合も多々あります」


「──お?」


 アーネの存在に気付き、おじさんが目を見張る。


「竜とパイプ亭の神官ちゃんじゃねえか。今日はどうした。また二人の付き添いかい?」


「いえ。私はもう神官ではないのです」


「どういうこっちゃ」


「神官は辞めました。改めて、私はこの真紅同盟のヒーラーを務めるアーネ=テトと申します。よろしくお願いします」


 ぺこりとアーネが頭を下げる。


「神官を辞めたァ!? そ、そりゃ思い切ったな!」


「ええ、思い切りました」


「んで、口説き落としたのが兄ちゃんと。やるねえ!」


「そういうわけでもないんだけど……」


「わかる、わかるぞ。男たるもの、生涯に一度はハーレムパーティを組んでみたいものだよな」


 何もわかってない。


「だがよ。たまーに見掛けるが、たいてい一人とくっついて抜けるか、空中分解するか、最悪刺されるかの三択だぞ。悪いこた言わねえ。次に加入させんのは男にしときな」


「それは、まあ、そのつもりです」


 フェリテが大袈裟に驚く。


「え! 真紅同盟に誰か入れるの!?」


「入れるとしたら、だよ」


「……正直に言いまして、あまり賛成はできません。私たち三人だけで行けるところまで行って、戦力不足を感じてからでいいのではないでしょうか」


 思わず苦笑する。


「大丈夫だって。急いでどうこうってわけじゃない」


「なら、いいのですが……」


「だよね。三人がいいよね」


「ええ。リュータとフェリテ以外の人とパーティを組むだなんて、考えられませんし」


「わかるー」


 武具屋のおじさんが、にやにやと口角を上げる。


「愛されてんねえ、兄ちゃん」


「──…………」


 本日何度目かの溜め息をつく。


「前から思ってたんだけど、俺たちって、そんなに不健全な関係に見えますか?」


「不健全? むしろ健全だろ、健全。男と女がいりゃあ、自然なことよ」


「いや、そうじゃなくて……」


「まあ、真面目に答えんなら、俺は最初、兄ちゃんとフェリテの嬢ちゃんはすぐにくっつくもんだと思ってたぞ」


「え!」


 フェリテが目をぱちくりさせる。


「今は、正直、どうかわからん。どちらかと言えば保護者に見えるしな」


「子供じゃないよー……」


 フェリテは不満そうだが、わりと正しい。


「だけど、さっきのハーレムうんぬんは冗談じゃねえぞ。意図的にか偶然か、男一人で女複数のパーティってのができることがあるんだよ。その末路は言った通りだ。女一人に男複数のパーティは逆にまとまったりすんのに、不思議なモンだよな」


 アーネが自信満々で言う。


「私たちは大丈夫です。なかよし三人組ですから」


「うんうん。我ら真紅同盟の絆は深いのだ!」


「そうかそうか。ま、頑張れや兄ちゃん。男っぷりが問われるぜ」


「はあ」


 なんともリアクションに困る。

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