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非公式交流クラブ~潜むギャップと恋心~  作者: じょー
第二章 まだまだ共通ルート
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お待たせです!

よろしくお願いします!



 


「さて、シュシュだが」

「……ふむ。流行りの色とか知らない我々には、難しいな」


 飾られてあるシュシュを見ながら、ファッション初心者の俺とケンゾーは固まっていた。

 形は同じ物がほとんどだからまだ悩まずに済むとしても、デザインの良し悪しがよく分からない。シンプルな物を選べば良いのかもしれないが、スズが好きな色じゃなかった場合……(おもんぱか)って受け取ったりせず、ちゃんと受け取らなそうだ。

 それは俺の敗北を意味しており、センス無い男として今後も扱われる可能性がある。

 それだけはどうにか避けたい。奴に弱味を見せたら負けなのだ。


「店員さんにオススメを聞くか?」

「正攻法だな。間違いは無いだろう」

「頼んだ、ケンゾー」

「おい椋一よ? 自分の買い物なんだから、こんな時くらい人見知りするな」

「ちっ」

「態度悪っ! それに、俺も初対面の人は苦手だぞ?」


 コミュニケーション能力が低い二人でどうしようもない。お客様から来るパターンなら俺だって上手く対応は出来るが、自分から行くパターンは難しい。

 これは俺の買い物で、ケンゾーは付き添ってくれているだけだ。たしかに、甘えてはいられない。


(うん! 今度はコミュニケーション能力の高い奴も連れて買い物に来よう!)


 ケンゾーは良い奴だが、不可能な事ばかりだからな。もう一人、ちゃんとした人が欲しいところだ。


(誰が適任かなー…………って、あれ?)


 そんな友達が……浮かばない。休日に誘える男友達が……居ない?

 思い返してみれば、学校では話すものの、放課後や休日に一緒に遊ぶ友達が俺には居ない気がする。

 休日に遊ぶ男友達が、ケンゾー以外に思い出せない。普段から学校を終えて直帰する弊害がこんな所に出てくるとは……。

 こうなれば仕方ない。今から友達を作るのは諦めて、コミュニケーション能力の高そうな知り合いを連れて行く事にしよう。ノアちゃんとか楓ちゃんとか……捕まらないよな?


「店員に聞くくらいなら、俺は自分の感性を信じるぞ。俺の故郷じゃそれがルールだったぜ」

「ふっ、骨は拾ってやる……」


 小粋なアメリカンチックトークを挟みながら、スズには薄紫のシンプルなシュシュを二つ選び、考えるのが面倒で千夏にもピンクのシュシュを一つ買う事にした。

 このファンシーでキャピキャピした女の子しか居ない店内からさっさと出るために、颯爽とレジへ並んで会計を済ませた。

 プレゼント用に包装して貰い、それも店の外に出てトートバッグへとしまう。

 これで買い物は終了――すぐに次の予定へと移行していく。焦る程に綿密な予定を立てている訳ではないが、時間は有限だからな。


「少し早いけど飯にするか?」

「良いだろう。俺は久しぶりにジャンクでファストなフードが食べたいぞ?」

「そうだな。こういう時じゃないとジャンキーな物を食べないし、それにするか!」


 たしかケンゾーの家は教育(しつけ)の厳しい家庭と、ややウンザリしながら言っていた覚えがある。

 学校帰りの買い食いは禁止されているらしく、健康的な食生活を心掛けるように言われているらしい。だからジャンクフードなんてもっての他で、食べたくなったら休日にコソッと食べているとか……。

 お金を払えばすぐに手元に届き、味は濃くて美味い。健康的かと聞かれれば答えられないが、心が満足するのだから、ある意味健康的と言っても間違いじゃないのではないだろうか。


「んで、フードコートはどこだ?」

「一階だ。混む前に行くぞ!」


 俺達はエスカレーターで一階へと下り、フードコートへ一直線に向かっていく。

 ただ、同じことを考えている人達は思ったより多いらしく、ピークでは無いにしろ人は多く集まっていた。


「……座れそうには無いなぁ」

「うむ。ジャンキーの群れ、というものだな」

「おい、あまり変な事は口走ってくれるなよ? ……仕方ないし、買うだけ買って外に行くか?」

「それが良いかもしれないな。どのみちこの後はゲーセンに行くのだろう?」


 俺の提案が通り、フードコートに出店してあった有名チェーンのファストフード店の列に二人で並んだ。

 母さんから要望されている買い物はまだ残っているが、それはここじゃなくて近所のスーパーで買って帰れば良い食料品。

 このデパートですることはもう無く、次の予定を考えればテイクアウトする方が効率は良いはずだ。


「すみません。このセットを一つ……飲み物はコレでサイズはS、ポテトのサイズもSでお願いします」

「かしこまりました。店内でお召し上がりですか?」

「いえ、持ち帰りで」

「お会計、六四〇円となります」


 順番が俺にまで回ってきて、待っている間に決めていた注文を流れ作業の様にこなしていく。

 財布の中に丁度の額があった事に謎のラッキーを感じながら支払いを済ませて、横にズレて次のケンゾーへと順番を譲る。


「これとこれと単品を、そしてこれも二つ。ソースは新作の二つでお願いします。飲み物はこれのバニラのMサイズで」


 ここぞとばかりに一人で食べるにしては多い量をケンゾーは注文していた。

 悲しい事に、メニューが置いてあると指差しで注文してしまう俺とケンゾーだ。

 お客様の気持ちも店員の気持ちもそれぞれ分かるから、別に店員側は特に気にしていないというのも分かっている。

 それでも考え始めてしまうと、もうちょっと自分の口を活用していかないと……と思ってしまう。


「ケンゾー、そんなに食うのか?」

「食べれるチャンスが俺は他の人より少ないからな。親の言い付けに真っ向から反抗するつもりも無い。だから……食べられる時に食べておくのだッ!」

「相変わらず真面目だな」

「価値観の相違だぞ、椋一。俺は俺を真面目と思ったことは無いさ。ただ……そんな風に賛辞を送られるのであれば、強く否定はせぬがな」


 真面目な変人。いや、真面目に変人とでも称しておこうか。

 相変わらず遠回しに気難しい事を言いたがる男で、その変わらない部分に安心感すらある。

 どうしてケンゾーに彼女が居ないのか、今でも分かるようで分からない。

 やはりモテる要素は多いはずなのに、モテない要素も同程度あるからだろうか? ……ちょっとその辺りを探ってみるか。気になるし。


「なぁ、ケンゾー? 唐突だが、仮に付き合っている恋人が居て、進む大学が別々とかだったらどうする?」

「ふむ……。新歓コンパの試練を乗り越えられない様じゃ、長続きはしないだろうな」

「新歓コンパの……試練?」

「そうだ。大学のサークルでの新歓コンパ。まだ未成年なのに先輩からお酒を勧められる恋人。強くは断れないちょっと優柔不断の奥ゆかしい性格を瞬時に見抜かれ、結局は飲んでしまい、酔ったところを……」

「――ストップ!!! うん! この話は止めておこうかっ!! なんか、なんか……悲しくなる」

「俺もだ……」


 話を振った俺も、律儀に答えたケンゾーも、二人して心にちょっとしたダメージを負った。

 ケンゾーの恋愛観は独特で、常に最悪なシナリオも想定しているタイプの奴だ。

 おそらく――ケンゾーはそのせいで、女の子は好きなのに積極的にはなりきれないのではないかと思う。


「お待たせしました! またお越しくださいませ!」

「あ、ありがとうございます……」


 店員さんから商品を受け取って、デパートを出た今も、まだケンゾーのシナリオが俺の心を締め付け、謎の苦しさを味わっている。

 やはり理想を掲げて夢を見るくらいの方が、精神衛生上は良いのかもしれない……。

 ケンゾーには何か純愛系のギャルゲーでも紹介しておく必要がありそうだ。かくいう俺も、今すぐプレイしたいくらいだ。


「どこかで飯を食べて、一旦さっきの話は綺麗さっぱり忘れよう! 現実だって良いもののはずだし!」

「……そうだな。椋一の言う通り、良いものであってくれねば困るものな。俺が恋人の為に頑張る事で、恋人も試練を乗り越えられる勇気を手にするかもしれない。そもそも……俺の辞書には不可能の文字など無いのだから!」


 ケンゾーが眼鏡を一回クイッとする。そうすると、いつも通りの自信に満ち溢れた顔付きに戻っていた。

 その気持ちの切り替えの速さ、見習いたいところだ。


「椋一よ。現実といえば……俺は眼鏡フェチだったりするがお前はどうだ?」

「唐突だな。えぇっと……めがね? そりゃ当然……萌えるに決まってるだろ?」

「ふっ、愚問だったか。俺は今日、眼鏡女子を数人確認したのだが、それぞれフィット感がとても良かったな」

「ケンゾーって奴はまったく……やはり抜け目が無いな」


 この視野の広さといい、女の子の好みの広さといい、元からあるスペックといい……どうしてケンゾーに彼女が居ないのか、俺には理解ができない。女子の見る目が無いとすら思えてくる。

 こんなに日々頑張っているケンゾーの努力不足というのは、ありえない話だしな。


(たしかにほんの少し……女子への熱意が気持ち悪いというのは俺も感じているが、ほとんどの男子なんてそんなものだしなぁ……)


 もしかしてそれが原因……ということは無いと思いたい。ただ、俺が女子ではないからいくら考えようとも答えは出ない。


「つまりはだな、椋一よ――」


 とても熱く眼鏡女子について語りながら、ついでに自分の眼鏡の位置を直すケンゾー。その横顔は今日一番楽しそうにしている。

 こんなに熱意があるのに、それがモテない原因だとしたら……それは……俺の口からはとても伝えられない悲しい話……。

 そんな残酷な事、いくら友達とはいえ俺からケンゾーには言えない。

 熱意こそケンゾーであり、熱意の無いケンゾーなんてケンゾーじゃないから、な。


(何かの拍子にケンゾーからモテない理由でも聞かれたら、まだ運命の人が現れて無いだけ……とか言って濁すことにしよう……うん)



 ◇◇




誤字脱字その他諸々ありましたら報告お願いします!(´ω`)


どの話数からでも評価が出来るようになったらしいですね!

☆3つですぅ~とか言って。


☆1つで2ポイント。☆×5で10ポイントらしいです。


文章評価、内容評価で分かれていたのが1つになったらしいですね。

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