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脳ある狼は牙を隠す

だいぶ日にちが空いた気がします。すみません!!

ヒロインでません。王子も出ません。執事メインです。

「ただいま帰りました。」

「「おかえりなさいませ、ローズブロンシュ様。」」


お人形のように美しくうり二つの顔を持つ侍女のイリスと執事のレイが頭を深々と頭を下げる。


「お母様とお父様は?」

「旦那様と奥様はリリー様とお食事を召し上がっております。」


レイはローズの表情を見ながら申し訳なさそうに話す。ローズは顔に出さないが両親に愛されている姉に嫉妬している。ローズの姉であるリリーはとても美しい容姿をしていて勉強も運動もできる。そのうえ心優しい性格で両親から愛されて育った。

ローズだって容姿は良く優しいのに何故リリーだけ両親に贔屓されているのかイリスとレイは不思議でたまらない。


「……そう、なら仕方ないわね、イリス」

「はい、お食事をローズブロンシュ様のお部屋まで運びます。」

「ありがとう。」


10年以上一緒に過ごしているからだろうか、何も言わなくてもローズが言おうとしていることがイリスとレイには分かる。それは2人にとってとても誇らしいことだ。

ローズは悩みごとがあったり機嫌が悪くなったりすると自室に篭もることが多い、きっと今日何か良くないことがあったのだろう。


「今日、ね……レオ様に婚約破棄されたの。」


ナイフとフォークを持ったままローズは今日あった出来事を話す。レオはアンのことが好きだった、しかしその恋にローズの存在が邪魔だったらしいと、その話を聞いたイリスとレイは「はぁ!?」と言いそうなのを必死に堪えた。

よく堪えた。偉い、偉いぞと心の中で思ったのはつかの間、またローズから爆弾発言をされた。


「それに、感情がすぐ出てしまうところも嫌いらしいわ……」


二人の堪忍袋の緒が切れた。


「レオ様は美しく聡明なお方です。しかし女を見る目がありませんね。レオ様の目は節穴なんですかね?」

「節穴というか元々目が付いてないのでは?こんなに美しく優しいローズブロンシュ様の婚約を破棄するなんて……いや、まてよ……それなら俺もワンチャンあるんじゃ……ブツブツ」


イリスはローズに見えないよう双子の兄であるレイの足を蹴った。イタッ! と思っていたより声が出てしまったが幸いローズにはバレていない。キッとイリスを睨むがイリスは気づいていないふりをする。

そんな二人の様子を知ってか知らずかローズは口に手を当てクスクスと笑う。


「二人ともありがとう。そんなこと言ってくれる人はあなた達だけよ。」


あどけない子供のような笑顔をみて双子は頬を赤く染めた。ローズは氷の女王のようだとよく言われている。だけどそれは違う。ローズは、ローズブロンシュは愛されたことが無いゆえに人の愛し方が分からないだけなのだ。本当はとても優しく、純粋で可愛い方なのだ。


「ご馳走様、美味しかったわ。」


綺麗になったお皿をレイとイリスが厨房に持っていきながら、ローズブロンシュのことについて語るのはいつもの恒例だ。


「ローズブロンシュ様は本当に婚約破棄をされたんだな……」

「えぇ、でもこれであの方が傷つく姿を見ることが減るかもしれないわね。」

「あぁ、そうだな。」

「そういえば、このことが旦那様たちに知られたらどうなるのかしら……」


二人は静かに顔を見合わせる。目は見開かれ、顔は真っ青になっている片割れを見て、自分もこういう顔をしているんだなと冷静に考える。


「や、やばいよな……あの冷酷な旦那様だ、家から追い出されるんじゃ……」

「そうね……でもあたし達の主は旦那様じゃない。ローズブロンシュ様よ。ローズブロンシュ様が追い出されたらあたし達もあの方についていく。そうでしょ?」


普段ローズに関することか人を馬鹿にするときしか笑わないイリスがニヤリと笑う。


「それにあんたガキの頃言ってたじゃない、いつかローズブロンシュ様と結婚するって……あたしも男に生まれていたらローズブロンシュ様と結婚したかったんだけど。こればかりは仕方ないわ、あんたに譲ってあげる。」


だからもっとアプローチしなさいよ。そういって妹は競歩で厨房に向かった。


「アハハ!イリスは素直じゃないんだから。ふぅ……可愛い妹のためにも本気出さなきゃな。」


さっき妹が笑ったように口端を上げて笑う。八重歯がキラッと光り藤紫色と金色の目が鋭くなる。それは獲物を狩る狼のようだ。

次回も楽しみに待っていただけると嬉しいです!!

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